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福島県内医療機関380病床削減 9月末まで 経営苦の32施設 医薬品、人件費高騰で 補助へ県が支援金

2025.08.22 10:38

 経営が苦しい福島県内の32医療機関が病床計380床を9月末までに削減する。県は医薬品や資材価格、人件費の高騰などで赤字となっている医療機関の経営改善を後押しする目的で、病床を削減する医療機関に対し「県医療施設経営強化緊急支援給付金」として1病床当たり支援金410万円を支給する。県は「削減病床に救急や感染症用などは含まれておらず、地域の医療体制に影響はない」としている。


 9月定例県議会に向け、21日に開かれた政調会で県が示した。支援金の財源は全額、国が負担する。厚生労働省は、病床削減を行う医療機関を対象とした病床数適正化支援事業の第1次と第2次の内示の配分額を都道府県に通知している。県内では56医療機関が病床削減による交付金の受領を申請し、このうち32医療機関の計380病床が支援対象となった。

 支援事業の予算が成立した昨年12月17日から今年9月末までの間に一般病床、精神病床、療養病床を削減する医療機関が対象となる。第1次内示分が直近3期連続赤字、第2次内示分が直近2期連続赤字となった医療機関で公立病院も対象に含まれる。

 県内の1次内示分は13医療機関の220床で、1医療機関当たり最大50床(最大約2億500万円)が支給上限。2次内示分は19医療機関の160床で、1医療機関当たり最大10床(最大約4100万円)が上限となっている。1次内示分の予算は既に確保している。県は今回、2次内示分の約6億5千万円を今年度の補正予算案として9月定例県議会に追加提出する。

 県によると、資材高騰に加え、人口減少やコロナ禍を契機とした受診控えなどが影響したとみられ、県内の医療機関の受診率はコロナ禍前と比較して70~75%程度にとどまり、経営悪化の要因となっているという。県の担当者は「受診率の低下の要因は分析できていない。多くの医療機関が収益の確保に苦労している」としている。

 県によると、1月1日現在、県内には127病院に約1万5千の一般病床がある。


■削減やむを得ない 医療関係者

 支援金を受けることが決まった県北地方の医療機関の関係者は「今の状況ではベッドを減らすのはやむを得ない」と窮状を明かす。人件費や院内の光熱費、外部に委託している清掃費などが高騰し、収入に追い付いていないという。「支援金は運営費としてありがたい」と歓迎する一方、「国に診療報酬の額を抜本的に見直してもらわないと先が見えない」と漏らす。