福島県会津若松市の核兵器廃絶平和都市宣言事業で広島市を訪れた中学生の報告会は18日、市役所で開かれた。戦後80年の節目に被爆地を訪れた参加者は戦禍を繰り返さず、平和の尊さを次代につなぐ決意を披露した。
各校の代表者13人が4日から6日まで広島市を訪問した。原爆ドームを見学した他、被爆者の梶本淑子さんの講話を聴き、平和記念式典に参加した。
報告会では室井照平市長と寺木誠伸教育長を前に一人一人が感想を述べた。渡部陽花さん(若松四)は書籍などを通じて事前に原爆投下を学んでいたが、実際に現地を訪れて改めて被害の甚大さを実感した。「戦争反対の姿勢を貫き、時間がかかっても非核三原則を世界に広めたい。今を戦前にさせない」と言葉に力を込めた。
原爆は3千度から4千度の熱線で爆心地から半径2キロを更地にし、いまも身元不明だったり、引き取り手が見つかっていなかったりする犠牲者約7万人の遺骨が供養されている。二瓶翔さん(大戸)は「80年が経過して一体どれほどの人たちがこの事実を知っているのだろうかと思った。正しい知識を伝えたい」と語った。
室井市長は「今回、広島で見聞きし、それぞれが感じたことを学校で広めてもらいたい」と求めた。
会津若松市は1985(昭和60)年8月6日、「核兵器廃絶平和都市」を宣言し、1995(平成7)年度から広島市訪問事業を始めた。2020(令和2)年度には訪問先に長崎市を加え、毎年交互に派遣している。
(会津版)