二本松市の大七酒造は、酒の運搬時に使用しているプラスチック製緩衝材の削減に取り組む。関係会社と連携し、リサイクル可能で環境に優しい段ボール製緩衝材を開発した。
構想は十年前からあったが、機能やコスト面で発泡スチロールに替わる素材はなかなか見つからなかった。昨年九月、段ボールに着目し、包装資材の製造販売を手掛けるダイナパック(本社・名古屋市)と開発に乗り出した。ダミー瓶を積んだ配送トラックで試験走行を重ね、耐久性やラベルの傷み具合などを確認。取り出しやすさ、組み立てやすさなどにもこだわった。
今年の五月下旬から段ボール緩衝材への移行を進めており、年間約二千二百キロのプラスチック削減を目指す。
■来年で創業270年
来年で創業二百七十年を迎える。正統的醸造法「酛生(きもと)造り」にこだわる。新型コロナウイルス感染予防で家にとどまる人向けにオンラインショップを充実させる「巣ごもり応援企画」などをいち早く実施した。
【主な取り組み】
■リサイクル可能な素材の使用
・段ボール緩衝材の導入
・リサイクル可能なガラス瓶の使用
■伝統と革新の技術
・微生物の多様性を守る「生酛(きもと)造り」
・省資源で環境に優しい「超扁平(へんぺい)精米技術」
■持続可能なエネルギー
・屋上で太陽光発電
・省エネルギーの発光ダイオード(LED)照明を使用
■太田英晴社長
最初から最後まで環境に優しい酒造りを目指したいと思って取り組みを始めた。今後もできることを考えて実践していきたい。海外にも商品を輸出しており、SDGsを推進する姿勢を示したい。