
沖縄県糸満市の平和祈念公園にある「平和の礎」に刻まれた沖縄戦などの犠牲者のうち、北海道出身者の名前を読み上げる集いが20日、札幌市で初めて開かれ、31人が沖縄戦で亡くなった親族などに思いをはせながら、約3500人の名前を3時間半かけて丁寧に読み上げた。参加者らは名前を声に出すことを通じて「身近に感じられた」などと話した。
札幌市北区で開かれた集いに参加した同市の平岩美千子さん(76)は、沖縄で命を落とした兄池端正幸さんらの名前を読んだ。戦後生まれで兄に会ったことはないが、家族からは「いつも優しくて怒ったことがなかった」などと聞いて、常に思いを寄せてきた。読む時は自然と涙があふれてきた。「心を込めて名前を読み上げた。兄を身近に感じることができて良かった」とうれしそうに語った。
集いは全国の参加者がリレー方式で読み上げる取り組みの一環。名前が刻まれた道出身の戦没者は1万808人と、国内では沖縄県に次いで2番目に多い。21日も約30人が集まり、約2千人分の読み上げを行う。