
小惑星リュウグウの元となった母天体が45億年以上前に誕生した後、10億年以上の間、氷があったとの分析結果を、東大などのチームが10日付英科学誌ネイチャーに発表した。探査機はやぶさ2が採取した砂を調べた。従来の推定より2~3倍多く水があった可能性があるという。地球の材料の一部になった小天体もこの母天体と同様の特徴を持つと考えられる。
飯塚毅東大准教授(宇宙地球化学)は「地球形成時は水が今の海洋質量の60倍以上もあったことになる。どのくらいの水が宇宙空間に失われたのかや、地球内部に入り込んだのかなど新たな謎が生まれた」と話した。
リュウグウは、地球と火星の公転軌道の近くを回る大きさ約900メートルの小惑星。母天体に別の天体が衝突して壊れ、岩石が再結集してできたと考えられている。太陽系が成立した過程の記録をとどめているとされる。
チームはリュウグウの砂に含まれる金属の比率などを解析、母天体ができて10億年以上後に、金属の一部が水と流出したことが分かった。