
【パリ共同】パリの国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部にある日系米国人の世界的な彫刻家イサム・ノグチ(1904~88年)が設計した日本式の庭園「平和の庭」が、劣化を受け日本の造園家らの手で大幅に修復された。ユネスコは「本来の輝きを取り戻し、ノグチの芸術ビジョンが再現された」としている。
平和の庭は日本政府の寄付で建設され、58年に完成。総面積1700平方メートルで、日本から持ち込まれた桜や竹などの樹木、大小の庭石、小川や池、橋が配置され、自然と人類の調和が表現されている。作庭には京都市や徳島県の造園家らが関わった。
しかし適切な造園管理が難しい状況が長く続き、景観の悪化が進行。日本の専門家チームが今月、ノグチの理念や日本庭園の精神を継承する目的で、ユネスコ日本政府代表部やフランス日本庭園協会、北米日本庭園協会などの協力を得て樹木の剪定を含む修復作業を行った。
修復に関わった不二造園土木(茨城県土浦市)の稲見彩取締役は「日本庭園はしっかりとしたメンテナンスがあってこそだ」と今後の課題を指摘した。