
救急搬送時にマイナ保険証の医療情報を活用する仕組みが、10月から全国の消防本部で始まる。傷病者が会話困難でも、救急隊員が服薬情報や受診歴を把握し、適切な処置や搬送先の選定に役立てる。
2024年度に一部の消防本部で行った「マイナ救急」実証事業で有効性を確認したため、720ある全消防本部に広げる。離島など一部の救急隊のみ対象外となる。
救急隊員は、マイナ保険証をカードリーダーで読み取り、タブレットで医療情報を確認。利用には本人の同意が必要だが、意識不明のケースなど状況によっては救急隊員の判断で照会する。
暗証番号の入力は不要で、税や年金など救命活動に関係のない情報は閲覧できない。
スマートフォンにマイナ保険証の機能を搭載した「スマホ保険証」には未対応で、本年度中には対応可能にする方針。
24年度の実証事業は67消防本部で実施。約2カ月間で1万件超の利用があった。参加した救急隊からは「飲んでいる薬が分かり、そこから病名を推測して、適切な搬送先を選べた」などの声が上がっていた。