
自動車運転処罰法が定める危険運転致死傷罪の要件見直しを検討する法制審議会(法相の諮問機関)の部会が29日開かれ、新たな制度のたたき台が示された。現在は数値が設定されていない高速度と飲酒の規定に、基準となる数値を明示。最高時速が60キロを超える道路で50キロ上回るか、最高時速60キロ以下の道路で40キロ上回れば対象とする案と、それぞれ60キロと50キロ上回った場合を対象とする案が併記された。
飲酒に関しては、血液1ミリリットルまたは呼気1リットル中のアルコール量で判断する。血液0・5ミリグラム、呼気0・25ミリグラム以上とする案と、血液1・0ミリグラム、呼気0・5ミリグラム以上とする案を提示。要件が曖昧で適用が難しい場合があるとの批判を踏まえた。今後の議論を経て、法務省は早ければ来年通常国会での法改正を目指す。
現行規定は高速度を「進行制御が困難」、飲酒を「正常な運転が困難」とする。悪質でも最高刑20年の危険運転ではなく、同7年の「過失運転」が適用されるケースがあり、遺族らが問題視していた。