学生奨励賞 菅野采颯(18)(福島・福島成蹊高3年)

2020/03/10 16:05

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 唯一、個人で受賞した。二〇一九(令和元)年五月に県内外の高校生を福島市の料理店に招き、共に県産農産物を味わった。農家の思いを知ってもらい、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の風評払拭(ふっしょく)につなげるためだ。
 被災地の高校生を米国に派遣する官民組織「TOMODACHIイニシアチブ」の研修プログラムをきっかけに、福島が抱える課題解決に挑戦しようと考えた。家族や近所の農家が放射性物質に対する不安を語る情景が浮かび、自らの手で古里を支えたいとの思いがあった。
 同組織の制度を活用して、料理店でのイベントの運営資金を確保。SNSなどで呼び掛け、県内や宮城県、東京都などから高校生ら約三十人を集めた。店側の協力を得て、県産のコメやアスパラガス、鶏肉などを使った料理でもてなした。震災からの復興に懸ける農家の思いを取材し、まとめたインタビュー映像を流した。参加者から反響があり、手応えを感じた。現在は、風評払拭に向けた企画の第二弾の準備を進めている。
 高校卒業後は大学で国際社会の現状や地域課題について学ぶ予定で、将来は社会貢献活動に取り組む夢を抱く。「知識と視野を広げ、自分ができることを可能な限り増やしていきたい」と志は高い。
◆官民組織「TOMODACHIイニシアチブ」◆ 東日本大震災の被災地の高校生を米国に派遣する研修プログラムを実施している。菅野采颯さんは高校一年の時に参加。米国の過疎地を訪れ、地域住民や他の研修生と共に現地の課題解決策を探った。