
一八九一(明治二十四)年の創業以来、呉服卸・販売、外食産業、写真スタジオ、菓子製造販売と多彩な事業を展開する。本県が誇るコメを使った六次化産業で地域活性化を図ろうと、二〇一〇(平成二十二)年九月、県産米粉を100%使用したバウムクーヘン専門店「バウムラボ樹楽里(きらり)」を開業した。
バウムクーヘンは県オリジナル米「天のつぶ」の米粉と、県内の養鶏工場、飼料会社と提携して開発した卵を使い、ガスと遠赤外線で一つずつ手焼きする。しっとり、ふわふわの食感が特徴で、堅焼きや、もち米粉使用のもっちりタイプもある。小麦を一切使わないグルテンフリー食品としても、ファン層を広げる。
開店から半年後、東日本大震災が発生。東京電力福島第一原発事故の風評被害を受けた。食品業界に県産品を避ける動きが広がる中、一貫して県産素材を使い、県産農産物の魅力を発信し続けた。地元の農業高校、大学と共同で商品を開発している。若い世代に地場産業への理解が広がり、地域を担う意識が芽生えている。
斎藤義博社長(69)は「製造者としての『こだわり』と消費者の『納得』を大切に、可能性を模索してきた。今後も地場産品の魅力を伝え、地域の活力につなげたい」と思いを語る。
■メモ
▽設立=1891(明治24)年4月
▽社長=斎藤義博
▽従業員数=67人
▽住所=福島市松川町下川崎字西原25の4
▽電話番号=024(537)1170