勝利と平和の象徴オリーブ ギリシャ原産種宇宙へ ホストタウン楢葉町に譲渡

2020/11/03 08:28

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カキュシス大使(左から2人目)からギリシャ原産オリーブの種を受け取る松本町長(右から3人目)。右から長谷川代表理事、横山副大臣。左は甚野氏
カキュシス大使(左から2人目)からギリシャ原産オリーブの種を受け取る松本町長(右から3人目)。右から長谷川代表理事、横山副大臣。左は甚野氏

 東京五輪・パラリンピック聖火リレーの出発地「Jヴィレッジ」がある楢葉町は来年五月、「復興『ありがとう』ホストタウン」として交流する五輪発祥の地・ギリシャからオリーブの種を譲り受け、宇宙に打ち上げる。地上に帰還した種はJヴィレッジなどの聖火リレーコースやギリシャ国内などに植え、五輪が結んだ友好と平和の象徴として後世に伝える。

 種の受け渡し式は二日、都内の駐日ギリシャ大使公邸で行われた。コンスタンティン・カキュシス大使が「古代ギリシャの時代からオリーブの木は勝利と平和の象徴。楢葉町が(東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの)逆境を乗り越えてきた勝利の証しとして種を贈る」と述べ、松本幸英町長にギリシャ原産種を託した。

 松本町長は九月のホストタウン登録以降、町内の小中学生らがギリシャの歴史や文化を学んでいると紹介。「国内のギリシャ人を楢葉に招いて交流イベントを開催し、町内の子どもたちがギリシャで学ぶ機会を設けたい」とさらなる相互交流に意欲を示した。

 宇宙への打ち上げは、一般財団法人ワンアース(茨城県)の事業「東北復興宇宙ミッション」で実現する。震災から十年の節目に国際宇宙ステーション(ISS)から被災地の復興状況、支援への感謝を世界に発信する目的で、福島、宮城、岩手の被災三県の四十二市町村から募った感謝のメッセージなどを打ち上げる。

 オリーブの種はISS日本実験棟「きぼう」内で一カ月ほど宇宙にとどまった後、来年七月ごろに楢葉町に帰還する。町は来年中に植樹したい考えで、種をギリシャで育ててもらう構想も描く。

 橋渡し役を担った横山信一復興副大臣、ワンアースの長谷川洋一代表理事と甚野源次郎顧問が同席した。