【廃炉の現場】(5)第1部デブリ取り出し 3号機 絡み合う障壁 取水と注水の矛盾

2020/11/13 00:43

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3号機には原子炉建屋1階を上回る水がたまる。デブリが圧力容器から時間をかけて鉄製の足場などを巻き込みながら落下したとみられ、格納容器底部に複雑に堆積している
3号機には原子炉建屋1階を上回る水がたまる。デブリが圧力容器から時間をかけて鉄製の足場などを巻き込みながら落下したとみられ、格納容器底部に複雑に堆積している

 日本原子力研究開発機構(JAEA)福島研究開発部門廃炉環境国際共同研究センター炉内状況把握ディビジョン長の倉田正輝さんは東京電力福島第一原発3号機をこう分析する。「デブリ(溶融核燃料)が非常に複雑な堆積の状態になっている」-。

 いずれも炉心溶融(メルトダウン)が起きた1~3号機は、事故時の炉心の圧力などで、状態は違うとみられる。JAEAによると、3号機は圧力や冷却時間などの条件が複雑に重なり、二二〇〇度ほどに達した核燃料が格納容器底部に時間をかけて落下したとみられている。落ちる際、鋼鉄製の足場などを巻き込み、容器底部に大量にたまった。

 これまでの調査結果から、構造物などを含めて格納容器底部に最高で三メートルに上る堆積物があり、内部は大きく様変わりしているのが明らかになった。絡み合った障害をいかに取り除くか。原子炉内の把握と分析が進む。

 ■2号機の次

 東電は三月、今後十二年間の作業工程を示した最新の廃炉中長期実行プランを発表した。二〇二一(令和三)年に計画している2号機のデブリ取り出しの次に、3号機が初めて記された。3号機格納容器内の水位を低下する方針も示された。

 3号機は、核燃料を冷却するために緊急的に注いだ海水や真水が、格納容器内に深さ約六メートル残り続けている。水位が原子炉建屋一階を上回り、1、2号機より水量が多い。

 同じ構造の2号機のデブリ取り出しで導入される予定の「気中工法」を3号機で応用するには、水の抜き取りが前提になる。格納容器とつながる下部の圧力抑制室(サプレッションチェンバー)から水を抜く計画だが、圧力容器のデブリを冷却する注水の継続は必須となる。このため、取水と注水の調整が出てくる。

 東電の関係者は「次から次に課題が出てくる」と明かす。

 サプレッションチェンバー内が満水になっているため、計画以上の荷重がかかり、設備劣化の進行が早い状態にあるという。デブリ取り出しと並行し、耐震補強も急がれる。

 さらに、デブリから出る放射線を遮る水がなくなれば、作業の難易度が上がるとみられる。格納容器内の放射線量の上昇、放射性物質を含むダストの飛散も懸念される。

 ■半溶融

 JAEAの研究で、3号機のデブリは温度などの条件から推測すると、「半溶融」の状態で時間をかけて崩落し、化学的に反応が起こりやすいものが残っている可能性があるという。

 原子力分野では、過去に海外で消火が難しい金属火災が起きた事例もある。再臨界以外のリスクも考え、取り扱い方法を検討する必要がある。物質はゆっくり冷え固まることで成分の偏りなどが起こる場合もあり、デブリのサンプル分析も重要になる。

 倉田さんは「号機ごとに燃料デブリの特徴が大きく異なることが分かってきた。福島第一原発事故以前の典型的な事故状況にとらわれすぎず、現場の観測結果、サンプルの分析を一層重視して検討を進めることが重要だ」と指摘している。