
木材を削る軽快な音色が情緒漂う教室、廊下に響き渡る-。
いわき市田人町の旧田人二小南大平分校。高橋正行社長(47)は二〇一九(平成三十一)年二月、山あいにたたずむ木造校舎に本社を移転した。気軽に見学できる産業観光施設に改修し、交流サロンを設けた。地元の団体や住民と協力し、教室で懐かしい給食を味わう「旧食会」や校庭での乗馬体験、オープンカフェなどを企画。地域振興に大きく貢献している。
割り箸の生産に加え、木材を使った新商品開発にも余念がない。スギの香り成分が持つ安眠作用に着目した「眠り杉枕」には、自社製割り箸の強度不合格品を再利用している。あかべこをモチーフにした「おがべこ」、磐城高史学部と共同制作した埴輪(はにわ)の「木粉さま」は共にオガ粉を使った縫いぐるみ。贈答品として人気を集める。鉛筆作りも始め、「旧校鉛筆」と名付けて販売し、好評を得ている。
高橋社長は二〇一〇年、低迷する林業に新たな価値を生み出したいと、いわき市に単身移住し、割り箸工場を設けた。「今後も地に足をつけてできることをやっていく」と誓いは固い。
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磐城高箸は「第一回ふくしま産業賞」で、地元産材を使ったユニークな割り箸作りなどが評価され、福島民報社奨励賞を受けた。
■メモ
▽設立=2010(平成22)年8月
▽社長=高橋正行
▽従業員数=7人
▽住所=いわき市田人町南大平字坪内95の1
▽電話番号=0246(65)0848