
微生物によって分解される植物由来プラスチックを原料に漆塗り杯「紫翠盃(しすいはい)」を開発、販売している。海洋プラスチックごみが問題になる中、環境保護の機運を高めようと自然へ負荷を掛けない素材を選んだ。塗りや加飾を会津の職人十人に発注しており、地域の伝統産業の継承にも寄与している。
植物から取り出したでんぷんと乳酸菌を原料にした生分解性プラスチック・ポリ乳酸樹脂(PLA)を成形した。「地球を守る漆器」がキャッチフレーズ。透明感を生かした杯や蒔絵(まきえ)が美しい杯など二十四種類を扱う。
開発に当たっては小松技術士事務所(いわき市)の小松道男所長(57)による特許技術を活用した。金型は埼玉県東松山市の金型製造会社ペッカー精工の二本松営業所(二本松市)で設計し、会津、浜通り、中通りの技術を結集した。
一四〇度まで耐えられるPLA製品の新ブランド「R+E(アールイー、Return to The Earth)」の開発を進める。曽根佳弘社長(56)は「使い捨ての容器をPLA素材に変え世界へ打って出たい」と夢を描く。
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三義漆器店は第二回と第三回のふくしま産業賞で、会津塗の技術を生かし、現代の生活スタイルに合わせた製品作りが評価され、特別賞を受けた。
■メモ
▽設立=1935(昭和10年)5月
▽社長=曽根佳弘
▽従業員数=66人
▽住所=会津若松市門田町一ノ堰字土手外1998の3
▽電話番号=0242(27)3456