
軟弱地盤・液状化地盤でも安全に施工できる自社の住宅向け免震基礎工法を使い、地中熱を効率よく活用するエコシステムを確立した。高額な工事費用をかけずに冷暖房、給湯、融雪を一台の地中熱ヒートポンプで可能にした。
一級建築士の影山千秋社長(69)は、最も安定した再生可能エネルギー源といわれる地中熱の住宅への活用を模索していた。安定した温度を得るためには地中百メートル前後を掘る必要がある。これは世界的な常識だった。工事費がかさむ上、地中の圧力に耐えるため熱伝導効率が悪い分厚いパイプを通さなければならない。
影山社長は、約十メートルの特殊な鋼管くいを地盤に固定する独自の免震基礎工法を生かせないかと考えた。地中の深さごとに年間の温度変化を観測すると、地中四~七メートルでは暖房を使い始める時期に最も温度が高く、冷房を使い始める時期に最も低いことを実測した。百メートル掘ることなく安定して地中熱を利用できることが分かり、鋼管くいとヒートポンプを組み合わせたシステム開発を目指した。「免震や地盤対策を施しながら、年間を通して地中熱を効率的に多用途に活用できる」と胸を張る。
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住環境設計室は「第一回ふくしま産業賞」で、世界初の免震装置不要の住宅向け免震基礎工法を開発し、銀賞を受けた。
■メモ
▽設 立=1995(平成7)年6月
▽社 長=影山千秋
▽従業員数=5人
▽住 所=郡山市逢瀬町多田野字黒岩原25の3
▽電話番号=024(957)3881