【検証・県当初予算】(1)「コロナ対策・健康」 医療体制確保に重き

2021/02/04 15:42

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 福島県の二〇二一(令和三)年度一般会計当初予算案は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興や地方創生、防災力強化に加え、新型コロナウイルス感染症対策に重点を置いた。二〇二一年度は第二期復興・創生期間の初年度。内堀雅雄知事が「新しいふくしま創生予算」と名付けた一兆二千五百八十五億円の中身を検証する。


 震災と原発事故の発生から三月で丸十年。福島県は復興への歩みを続ける中で、新型コロナウイルス感染症対策という新たな課題に直面している。感染の収束は見通せず、県は現在と同様の医療提供体制を新年度も維持する方針だ。感染収束を見据えた県内経済回復への事業にも重点的に予算を配分した。

 新型コロナ対策費として九百十一億八千七百五十四万円を計上し、このうち二百二十七億七千二十二万円を入院病床の確保に充てる。感染者受け入れのため空床化に協力する医療機関の減収を補填(ほてん)する。二日現在の入院者は予定を含め百九十八人で、確保病床四百六十九床に対する使用率は42・2%。政府の対策分科会が示すステージ3(感染急増)の指標の一つ「確保病床の使用率25%以上」を超えている。今後も感染者の継続的な発生を想定しながら対応に当たる。

 軽症者・無症状者向けの宿泊療養施設の確保する事業には二十一億二千八百八十四万円を付けた。現在、福島市に六十室、郡山市に六十室、いわき市に百室の計二百二十室を運用している。医療機関の負担軽減のために引き続き活用する。

 今後のワクチン接種について、政府は今月中旬から同意を得た医療従事者約一万人から始め、安全性を確認する方針だ。三月中旬には医師や看護師らへの接種を開始し、高齢者は四月以降となる見通し。県は専門的相談に対応するコールセンターの設置や市町村への説明会開催に必要な費用として八千四十八万円を確保する。

 感染収束を見据えた県内経済の回復・再生に向けた事業も推進する。県内の観光業を支援するため、県民向けに一人一泊七千円以上の宿泊費に対し五千円を割り引く「県民割」事業に九億五百十九万円を付けた。十三万泊分を追加予定で、実施時期は県内の感染状況を見極めて判断する。

 県は、健康長寿県の実現に向けた県民運動など健康づくりの施策も展開する。新規事業として県内各地に広域的なサイクリングルートを設定し、魅力を発信しながら健康増進にもつながる事業に取り組む。事業費千九十一万円を計上した。