
東京五輪聖火リレーは二日目の二十六日、浜通り、中通り、会津を横断し、地域ごとに表情を変える広大な県土の自然、地元が誇る伝統や文化など福島県の魅力を発信した。九十七の走者枠で計百十人の聖火ランナーが九市町村の計一八・九七キロを巡った。県内最終日の二十七日は中通りを中心にリレーし、栃木県に聖火を引き継ぐ。
二日目は相馬市の相馬中村神社をスタートした。晴天の下、中村一中二年の鈴木莉桜(りお)さん(14)=相馬市=が出発した。東京電力福島第一原発事故に伴い一時全村避難した飯舘村、東日本大震災による大津波で沿岸部が甚大な被害を受けた新地町、避難区域が設定、解除された川俣町山木屋地区を順に巡り、着実な復興の歩みをたどった。
一九六四(昭和三十九)年東京五輪の際にオリンピック・マーチを作曲した古関裕而さん(福島市出身)、金子(きんこ)さん夫妻をモデルとしたNHKの連続テレビ小説「エール」の舞台となった福島市でも聖火は輝いた。
エールの主人公古山裕一の母親役を演じた女優の菊池桃子さん(52)が走ったほか、ふくしん夢の音楽堂(市音楽堂)と古関裕而記念館の近くで、小高産業技術高を今月卒業した三浦光さん(18)=南相馬市=と福島大付属中一年の原緋彩(ひいろ)さん(13)=福島市=によるトーチキスが行われた。
猪苗代町の猪苗代スキー場では、フリースタイルスキー・モーグルで冬季五輪三大会連続出場の遠藤尚さん(30)=猪苗代町出身=がトーチを掲げながらスキーで真っ白なゲレンデを滑り降りた。絶景スポットとして海外からも熱視線を浴びる三島町にあるJR只見線の第一只見川橋梁(きょうりょう)展望台には、三島中を今月卒業した五十嵐望さん(15)=三島町=が列車の通る時間に合わせて聖火を運んだ。喜多方市では蔵が立ち並ぶ小田付地区をランナーが駆け抜けた。
元女子バレーボール日本代表の大林素子さん(53)が二日目のゴール地点となる会津若松市の鶴ケ城公園市営駐車場(鶴ケ城西出丸)で聖火皿に火を移した。
二十七日は南会津町を出発し、会津と中通りの計七市町を巡る。聖火は二十八日から栃木県に移る。