64年東京五輪経て再び参加 大阪聖火リレー、71歳男性

2021/04/14 14:30

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大阪府吹田市の万博記念公園で行われた聖火リレー=14日午前
大阪府吹田市の万博記念公園で行われた聖火リレー=14日午前

 東京五輪の聖火リレーは十四日、新型コロナウイルス感染拡大で公道の走行を中止した大阪府での二日目を迎え、引き続き万博記念公園(吹田市)内に設けられた代替コースで実施された。

 中学時代に一九六四年東京五輪の聖火リレーに伴走者として出場した西村成生さん(71)=大阪府泉佐野市=は、再びリレーに参加。穏やかな日差しの下、右手に持ったトーチを高々と掲げながら、ゆったりとした走りでスタートランナーを務めた。次に聖火を引き継ぎ終えると、うれしそうにピースサインをした。

 約二百メートルの割り当て区間を走り切り「憧れのトーチを自分で支えることができて、よかった。新型コロナに負けない世界になるよう祈る」と、聖火の神聖さをかみしめつつ力強く語った。

 前回はランナーの後を走る地元の中学生代表として選ばれた。沿道を埋め尽くした観衆の盛り上がりは、高度経済成長まっただ中の活気あふれる町の姿と重なった。

 三十歳でトランポリンを始め、地元で主宰する教室で指導した教え子は三千人以上。再び聖火が来ると知り「もう一度活力を町に呼び込みたい」とランナーに手を挙げた。新型コロナの影響により泉佐野市でトーチを掲げることはかなわなかったが、直前まで開催に尽力した地元の人々の思いを胸に代替コースを走ると決めた。

 十四日のリレーが始まる直前、コース脇で「第一走者と聞いて、重要なポジションだし、びっくりした。私まで緊張した」と語った妻の光代さん(70)。夫の走りを見届けて「かっこよかったです」と満面の笑みを浮かべた。