【官製風評 処理水海洋放出】産業支援策目新しさなし 知事 安定経営仕組み求める 政府基本方針

2021/04/16 15:05

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 東京電力福島第一原発の放射性物質トリチウムを含んだ処理水処分を巡り、風評被害を受ける可能性のある事業者からは、基本方針に記された支援策は具体性を欠き「風評を抑える効果はあるのか」との不安が漏れる。内堀雅雄知事は十五日の梶山弘志経済産業相との会談で、「水産業をはじめ、県内の農林業や観光業などに対する万全な風評対策を講じてほしい」と対策強化を要請した。

 県民には、処理水の海洋放出によって福島県農林水産業だけでなく、観光業や商工業などあらゆる産業への風評が上乗せされるとの懸念が根強い。内堀知事はこれまで処理水の処分方針の検討に当たり、政府に対し農林水産業や観光業に影響を与えることがないよう具体的な風評対策の提示と正確な情報発信を繰り返し求めてきた。

 基本方針では、影響を色濃く受けると想定される水産業について継続事業の施設整備支援や地元の仲買・加工業者の設備導入、販路開拓モデル事業の支援などを例示した。ただ、処理水の処分は二〇四一~五一年ごろとする廃炉完了目標までに放出を終える方針で長期に及ぶ。

 内堀知事は梶山経産相に対し「水揚げされた水産物が全量、適正な価格で取引されるなど、事業者が将来にわたって安心して事業を営むことができるような仕組み」を構築すべきだと踏み込んだ。

 一方、基本方針では観光業や商工業、農林業への風評影響にも触れているが、対策に目新しさはなく、交流人口の拡大や移住・定住の促進などを挙げるにとどまった。