聖火、コロナ禍の東京に  島以外公道リレー実施せず  五輪機運醸成、つながるか

2021/07/09 20:16

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東京都町田市で行われた点火セレモニーで聖火をつなぎ終え、トーチを掲げる稲城市を走行予定だったランナー=9日午後
東京都町田市で行われた点火セレモニーで聖火をつなぎ終え、トーチを掲げる稲城市を走行予定だったランナー=9日午後
東京五輪の聖火が開催地の東京都に入り、お披露目式で聖火を納めたランタンを公式アンバサダーで元パラ射撃代表の田口亜希さん(右)から受け取る小池百合子知事=9日午前、東京都世田谷区の駒沢オリンピック公園総合運動場
東京五輪の聖火が開催地の東京都に入り、お披露目式で聖火を納めたランタンを公式アンバサダーで元パラ射撃代表の田口亜希さん(右)から受け取る小池百合子知事=9日午前、東京都世田谷区の駒沢オリンピック公園総合運動場

 東京五輪の開幕まで二週間となった九日、聖火が開催地の東京都に入り、都が世田谷区の駒沢オリンピック公園総合運動場で、無観客のお披露目式を開いた。全国で最後となる都内の聖火リレーは、新型コロナウイルスの感染状況悪化を踏まえ、島しょ部を除き公道走行は中止。都と大会組織委員会は各地で点火セレモニーを開き、走る予定だったランナーが「トーチキス」で炎をつなぐ。

 東京大会は八日夜、首都圏会場の無観客開催が決定したばかり。異例の五輪が開幕する二十三日まで聖火は十五日間、都内を巡るが、大会に向けた機運が盛り上がるかどうかは微妙な状況だ。

 お披露目式で、小池百合子知事は「ランナーそれぞれの思いを聖火に込めて、しっかりとつないでいただきたい」とあいさつ。第一走者の元プロテニス選手松岡修造さん(53)が「聖火が一歩踏み出す大きな力になると信じている」と話した。

 式典があった総合運動場は、一九六四年東京五輪でバレーボールなど複数競技の試合会場となった。一般観客の入場は認められず、近くに集まった市民による五輪開催反対の声が会場外から響いた。

 点火セレモニーは九日午後、町田市の多目的広場で開かれた。六四年の前回大会で曽祖父がトーチ作りに携わった中学二年の仲川希久さん(13)=世田谷区=は「選ばれたのは運命のように感じる。五輪を裏で支えている人がいると知ってほしい」と笑顔だった。

 プロ野球や米大リーグで活躍した上原浩治さん(46)も登場し「観客がいないと選手は気持ちの持ち方が難しいと思うが、メダルを目指して頑張ってほしい」とエールを送った。

 聖火リレーは三月二十五日、福島県をスタートしたが、感染者数の増加を受け、公道での実施を取りやめる道府県が相次いだ。都内は浅草や銀座、渋谷のスクランブル交差点といった観光スポットをランナーが駆けるはずだった。