世界で活躍する選手を目指そう 福島市で「子ども野球復興五輪」

2021/07/18 11:21

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閉会式で遠藤さん(左)からブーケを手渡され、笑顔を見せる中学生
閉会式で遠藤さん(左)からブーケを手渡され、笑顔を見せる中学生

 復興五輪の思いを後世に-。東京五輪の競技開催地と東日本大震災の被災地を対象にした復興庁の「子ども野球復興五輪」は17日、福島市の信夫ケ丘球場で催された。新型コロナウイルスの影響で市内の県営あづま球場での野球・ソフトボール競技が無観客となったが、参加した中学生は「地元開催の五輪を心に留めたい」「五輪をきっかけに自分が世界で活躍する」と誓った。

 五輪で活躍した元プロ野球選手らが子どもたちを指導する声が炎天下の球場に響いた。福島、いわき、南相馬の3市のボーイズリーグに所属する中学生約50人が参加し、汗を流した。

 福島市の福島ボーイズの近野正貴さん(14)=野田中3年=は北京五輪で日本代表の正捕手を務めた元ロッテの里崎智也さんから捕球のコツを教わった。「一つ一つの指導が的確でためになった」と目を輝かせた。

 東京五輪野球競技のチケットを保有し、あづま球場での観戦を楽しみにしていた。無観客開催となり、憧れの選手の試合を直接見る機会が失われ、落ち込んだという。

 五輪を前に開催された今回のイベントに参加し、「地元開催の五輪は一生の思い出になる。今日の経験を生かし、将来はプロになりたい」と夢を語った。

 参加者を代表して選手宣誓したいわき市のいわきボーイズの佐藤誠真さん(14)=小名浜二中三年=は五輪を盛り上げたいという思いを強くした。「世界中の人々に東日本大震災から復興が進んだ福島の姿を直接見て欲しかった」と残念がる。それでも「福島で日本代表がプレーするのは楽しみなのでテレビで応援したい」とエールを送った。

  ◇  ◇

 西郷村出身で元大洋の遠藤一彦さん(66)や相馬市出身で元巨人の鈴木尚広さん(43)らプロ野球OB16人は野球の指導を通して子どもたちに夢を持つことの大切さを教えた。

 遠藤さんは「今日の経験、思い出を今後の人生に役立ててもらいたい」と語り、子どもたちが復興の担い手となるよう期待した。

 鈴木さんは現役時代をほうふつさせる俊足を披露し、子どもたちの注目を集めた。「新型コロナの影響で社会が暗い状況だが、スポーツの素晴らしさを通じて社会が少しでも明るくしたい」とした上で、「参加者が将来、夢や希望を与える側に成長することを期待したい」と話した。

 開会式で東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督(48)や選手からのビデオメッセージが紹介された。閉会式で五輪の表彰式で使用されるビクトリーブーケと同じく、県産のトルコギキョウやリンドウで作られたブーケが参加者に贈られた。