チョウと竜巻(10月20日)

2021/10/20 09:24

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 経済や社会などさまざまな分野で「バタフライ効果」という言葉を耳にすることがある。ささいな事柄がきっかけとなって、最終的に大きな変化が起きる-という意味で使われる。小説や映画のテーマになることも多い▼半世紀前、米国の気象学者が行った講演「ブラジルでのチョウの羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか」に由来する。わずかな振動が複雑な要因を経て大きな嵐になるとの比喩で、確実な天候の予測は難しいというものだった。現在では「小さな行動で将来は変えられる」という前向きな捉え方にも引用される▼個人の選択が社会を動かす例に、選挙がある。選挙権年齢が「十八歳以上」に引き下げられたことで、若者にも政治参加の機会が広がった。総務省の調査では、これまでの国政選挙における若年層の投票率は他の世代に比べて低い。いかに投票率を向上させられるかが鍵になる▼注目の衆院選が公示された。新型コロナ禍への対応や福島の復興・創生、人口減など社会が直面する難題は多い。「政治はどうせ変わらない」。そんな諦めを捨てて、一歩踏み出してみる。一人一人の意思が、未来をより良くする力になるはずだ。