東日本大震災・原発事故

福島県浪江町のふたば自動車学校が11月1日に教習再開 震災と原発事故で休校

2021/10/22 21:19

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新築した事務所兼教室と全面改修したコースⅡ浪江町高瀬(撮影 スタジオナップス)
新築した事務所兼教室と全面改修したコースⅡ浪江町高瀬(撮影 スタジオナップス)

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で休校していた福島県浪江町のふたば自動車学校は11月1日、教習を再開する。社長の長沼克往(かつゆき)さん(57)は10年間、職員の雇用を継続してきた。「仲間と古里の期待に応えたい」と決意している。施設とコースを全面改修し、指導員の技術講習や関係機関と調整を進めてきた。現時点で、双葉郡唯一の自動車学校の再始動に、地域の期待が集まる。

 「ようやくスタートラインに立てる」。浪江町高瀬に建て直した事務所兼教室で、長沼さんは校長の大和田好英さん(77)と1週間後に控えた教習再開の準備を進めながら、10年間を思い返した。

 震災直後、大和田さんを中心に、在籍していた教習生約250人の連絡や返金作業に奔走した。生徒が避難先でも教習できるように知人の教習所を紹介した。「必死だった。教習生が避難先で免許を取得し、生活を送れるようにしたかった」と振り返る。

 田村市船引や会津若松市での避難生活を経て、2014(平成26)年に、いわき市に移った。指導員の雇用を継続し、法定講習を毎年受講させ、古里での再開の道を模索してきた。「必ず浪江で学校を再開する。その時まで待ってくれ」。交わした約束が心にあった。

 2017年3月末、浪江町の一部で避難指示が解除されると、帰還者の数を気にしながら過ごした。「町民が戻るのを待つのではなく、自分が環境を整え、帰還につなげよう。自分の役割でないか」と決断した。

 現在の帰還者数で、自動車学校の経営は厳しいのが本音だ。しかし、震災と原発事故が起きるまで、双葉郡の多くの人がふたば自動車学校に通い、免許を取得してきた。支えてきてくれた人への感謝の思いがある。「町と町民のおかげで、長年にわたり事業を続けることができた。自分が恩返しする番だ」と誓う。

 事務所兼教室、検定待合所を新たに建て、車庫を整備した。車両を30台、最新鋭の機材を導入、コースも整備した。一般の教習・検定をはじめ、高齢者講習も行う。産業機械やドローンの講習にも力を入れ、復興に寄与していく。