いわきFC

【いわきFC J3への軌跡(中)】地域密着の経営に注力

2021/11/06 12:45

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有
いわきFCの昇格を見届けようと、多くの観客が詰めかけた広野町のJヴィレッジスタジアム。今季最多となる2014人の観客がスタンドを埋めた
いわきFCの昇格を見届けようと、多くの観客が詰めかけた広野町のJヴィレッジスタジアム。今季最多となる2014人の観客がスタンドを埋めた

 J3昇格を確実にしたいわきFCを運営する、いわきスポーツクラブは「スポーツを通じて社会価値を創造する」を理念に掲げる。クラブは現体制に移行した2015(平成27)年から、理念の実現に向けて地域密着の経営に注力してきた。

 現在のクラブは、スポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店のドーム(本社・東京都)が東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興に貢献しようと、2015年に設立した。経営トップにはJ1チームなどで経営に携わってきた大倉智氏を招いた。約100億円を投じ、いわき市に物流センター「ドームいわきベース」を整備。敷地内に人工芝グラウンドやクラブハウスを備える「いわきFCパーク」を建設した。パーク内には飲食店やスポーツショップが入り、地域の憩いの場として市民らに親しまれている。

 充実した環境は、チームを大きく飛躍させる転換点となった。物流センターの整備により多くの地元雇用も生み出し、いわき市のイメージ向上にもつながった。

 スポーツを通じたまちづくりと人材育成にも取り組む。2017年には市などと連携し、「スポーツによる人・まちづくり推進協議会」を設立。いわきFCのトレーナーが地元企業を訪れ、健康講座を催したり、スポーツの体験イベントを開いたりしてきた。中高生などが所属するいわきFCアカデミーは、選考さえ通過すれば月謝は一切かからない。アカデミーの活動は「未来への投資」というのがクラブの考え方だ。

 こうした取り組みが市民に浸透した結果、広野町のJヴィレッジスタジアムで行われた3日の大一番では今季最多となる2014人の観客がスタンドを埋めた。試合後の会見で大倉智社長は「人づくり、まちづくりをやるというのが僕らの最大のビジョン。観客がゼロだった時もあった。今日この光景を見れて本当に良かったと実感している」と観客席を見つめた。