
福島県大熊町は13、14の両日、町内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)での準備宿泊に関し懇談会を同町やいわき市など4市町で開いた。町によると、12月初旬から準備宿泊が始まる方針について住民から反対意見は出なかったという。
内閣府原子力災害現地対策本部の佐藤猛行支援調整官が準備宿泊の方針を説明した。復興拠点の大部分の放射線量が避難指示解除基準値(毎時3・8マイクロシーベルト)を下回っているとした。11月末に町内の復興拠点全域の立ち入り規制を緩和する方針を報告した。
出席した町民からはインフラの整備などに関する質問が挙がった。田村市に避難している男性(70)は旧町役場付近に自宅がある。「ネズミなどの小動物が家にすみ着いた。害獣駆除の対策を検討してほしい」と訴えた。
吉田淳町長と原子力災害現地対策本部の辻本圭助副本部長は14日、郡山市で開かれた懇談会後、報道陣の取材に応じた。吉田町長は「町の中心地だったJR常磐線大野駅周辺を含む復興拠点の避難指示解除に向けて、準備宿泊の実施は大きな一歩と捉えている」と述べた。
今後、住民の意向を踏まえた上で国と協議し、町議会に諮った後、準備宿泊の正式な開始日を決める。