東日本大震災・原発事故

大熊町の復興拠点で準備宿泊始まる 住民、新たなスタートへ 福島

2021/12/04 08:36

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町内の自宅で飼育している黒毛和牛の世話をする光秀さん
町内の自宅で飼育している黒毛和牛の世話をする光秀さん

 東京電力福島第一原発事故に伴う福島県大熊町の帰還困難区域のうち、来春の避難指示解除を目指す特定復興再生拠点区域(復興拠点)で3日、準備宿泊が始まった。6町村に設定されている復興拠点では、先月30日に始まった葛尾村野行地区に続き2例目。

 町によると、2日までに15世帯31人から宿泊の申請があり、3日は7世帯11人が宿泊の手続きをした。

 大熊町下野上地区で黒毛和牛を飼育している兼業農家の池田光秀さん(60)=広野町に避難=は、妻美喜子さん(64)と共に昨年新築した自宅を訪れた。古里での準備宿泊開始を受け、光秀さんは「この10年、振り返る暇がないほど毎日が忙しく、あっという間だった。ここから新たなスタートを切られる」と前を向いた。

 準備宿泊の対象となるのは、町内の復興拠点約860ヘクタール。11月30日にJR常磐線大野駅周辺をはじめとする約230ヘクタールの立ち入り規制が緩和され、復興拠点の全域で24時間の立ち入りが可能になった。