東日本大震災・原発事故

千本の桜で古里を彩る- 福島・南相馬市小高区「おだか千本桜プロジェクト」

2021/12/10 09:04

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1000本の桜で人を呼び込みたいと語る佐藤さん
1000本の桜で人を呼び込みたいと語る佐藤さん
小高川沿いを彩る河津桜=2020年春
小高川沿いを彩る河津桜=2020年春

 1000本の桜で古里を彩る-。南相馬市小高区の小高川沿いなどに河津桜などが並ぶ。小高区の佐藤宏光さん(67)が地元の釣り仲間と共に、2015(平成27)年冬に植樹を始めた。これまでに955本を根付かせ、間もなく目標の1000本を達成する。

 東京電力福島第一原発事故の影響で全域が避難指示区域となった。2016年7月に避難指示が解除されても、居住者は事故前の3割ほど。住民の帰還は思うように進んでいない。美しい桜が咲く景色を自分たちで作り、古里を盛り上げる。そうすれば、「地元に戻る人が増えるはず」と信じている。

  ◇   ◇

 東日本大震災の津波が自宅に押し寄せ、原発事故で古里を追われた。惨状を前に何もかもを投げ出したくなった時、県外から駆け付けたボランティアの人たちが手を差し伸べてくれた。人の温かさに触れ、奉仕活動の大切さを実感した。

 ちょうどその頃、早咲きで濃いピンクの花びらが特徴の河津桜で有名な静岡県河津町に多くの観光客が訪れていることを知った。「これが小高にあれば、盛り上がるだろう」。2015年4月に市民団体「おだか千本桜プロジェクト」を始動させた。同年12月に最初の植樹祭を開き、住民ら88人で河津桜の苗木152本を植えた。その時に植えた苗木は約4メートルになった。

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 プロジェクトは大きく成長した。大勢の市民やボランティア、小高川を管理する県、周辺の土地を所有する市の協力を得た。市の補助金や地元企業などからの寄付金を活用し、植樹に適した冬場に植えてきた。住民の憩いの場にしたいとの願いを込めて区内の4カ所に作った広場は市民らの交流拠点になりつつある。

 桜の周りの草刈り、大きくなった後の剪定(せんてい)作業には多くの労力が必要だ。「この活動で若者が増え、地域の未来が少しでも明るくなるのであれば作業も苦ではない」と前を向く。「1000本の桜を大切に育てて、小高を東北一の河津桜の里にしたい」と夢を膨らませる。

■おだか千本桜プロジェクト第11回植樹祭

 12日午後10時30分から、南相馬市小高区岡田字下河原田の桜ふれあい広場で開く。植え替え分を合わせ100本を植え、今回で目標の1000本を達成する。参加者は午前9時まで現地に集合する。