
今春、福島県内の高校を卒業するスポーツ選手の進路が決まった。新型コロナウイルスの影響で練習制限や大会中止などの困難に襲われても、目標を見失わずに己を高めてきた。昨年の東京五輪では躍動する県勢アスリートの姿に刺激を受けた。次は自分が世界へ―。3年間で培った技術と精神力を礎に、新天地でさらなる飛躍を誓う。
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学法石川高は昨年12月の全国高校駅伝競走大会に9年連続で男女ともに出場した。同校の山口智規(18)は早大、大河原萌花(18)は名城大に進学する。男女のエースが名門での進化を誓う。
山口は昨年11月、5000メートルで高校歴代3位の13分35秒16をマークした。大学ではトラック種目に重点を置き、日本選手権5000メートルの入賞に照準を合わせる。「世界で活躍する選手になる。駅伝にも挑戦したい」と4年間を思い描く。
早大にはOBの小指(こざす)卓也(21)=3年=が在籍する。山口は高校時代の小指の走りに感銘を受け、学法石川高を選んだ。調子の波が激しく、力を出し切れずに悔しい思いもした。「強い選手と競い合い、自力を高める。自分だけの武器を見つけたい」と意気込む。
昨年6月のU20日本選手権1500メートルで優勝した大河原は「武器のスピードを磨き、スタミナも強化する。各種大会で上位入賞を目指したい」と活躍を期す。
名城大は昨年10月の全日本大学女子駅伝で5連覇、12月の全日本大学女子選抜駅伝で4連覇を果たした。実力者が集う環境に身を置き、走力を磨く。「高い意識を持ち、練習に励む。駅伝ではチームの勝利に貢献したい」と決意を示した。
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昨年8月に開かれた全国高校総体(インターハイ)のバドミントン男子ダブルスを制した、ふたば未来高の荻原聖也(18)と武井凜生(りき)(18)は、それぞれ明大とNTT東日本に進み、日本や世界の頂点を目指す。
昨年3月の選抜大会後にペアを組んだ。5月に武井のけがが判明した。本格的なダブルスの練習を再開したのはインターハイの1カ月前。実業団に所属するOBのサポートもあり、本番では最高の結果を残した。
多くの時間を共有し、絆は強まった。武井は「荻原の気持ちが弱くなりそうな時は自分がもり立てた」と振り返り、荻原は「プレーはもちろん、精神的にも支えてくれた」と感謝する。
荻原は1年目からの試合出場、インカレ4強入りなどが目標だ。武井は憧れの桃田賢斗(26)=富岡高出身=と同じチームで五輪代表入りを狙う。
2人を指導してきた同校バドミントン部顧問の大久保菜摘教諭(29)は「3年間で学んだことを生かし、高みを目指してほしい」と期待している。
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全国レベルの大会で活躍するなど実績を残した県内の主な高校生の進路は【表】の通り。サッカー男子U―22(22歳以下)日本代表で尚志高のチェイス・アンリ(17)は海外でのプレーを希望し、代理人が交渉を進めている。
高校野球では夏の福島大会決勝で投げ合った日大東北高の吉田達也(18)、光南高の星勇志(18)が、同じ東北福祉大でしのぎを削る。