東日本大震災・原発事故

民俗芸能存続の力に 福島県内団体の活動サポート 独自の視点で企画、立案【あすを見つめて】

2022/03/14 09:04

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県内の民俗芸能についてまとめた資料を読む国分さん
県内の民俗芸能についてまとめた資料を読む国分さん

■国分球子さん NPO法人民俗芸能を継承するふくしまの会事務局長

 NPO法人民俗芸能を継承するふくしまの会の事務局長の国分球子さん(58)=郡山市=は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で存続の危機にひんしている県内芸能団体の維持や、途絶えてしまった活動の再開などを支援している。民俗芸能分野の第一人者の懸田弘訓理事長(84)=二本松市、元県文化財保護審議会委員=の右腕として、講習会や実地調査などの企画、立案を担ってきた。

 国分さんが伝統文化に出合ったのは、二〇〇一(平成十三)年、須賀川市で開かれた「うつくしま未来博」がきっかけ。勤めていた広告代理店の業務の一環で、県内の昔話や民話を伝えるパビリオン「からくり民話茶屋」の運営に携わった。翌年から、民話茶屋出演者らが中心となって結成したNPOで事務局長を務めた。

 地元の文化の継承に力を尽くす県内の語り部の姿を間近に見るうちに「何かを後世に残そうとする人を助けたい」という思いが湧き起こった。そんな中、二〇一五年、「民俗芸能を継承するふくしまの会」設立の時に懸田さんから事務局長就任を請われた。当時は継承が危ぶまれている福島県の伝統芸能の現状をほとんど知らなかったが、懸田さんの情熱に触れ、新たな世界に挑戦したい気持ちから快諾した。

 今では継承する会の屋台骨として、事務作業や保存団体向けの講習会など業務全般を支える。伝統芸能活動に参加している女性たちを紹介する講座など、独自の視点の企画もこなす。「せわしない日々だが、やりがいがある」と笑顔で話す。

 活動を続ける中で未曽有の災害に遭った悲しみから民俗芸能の存続を諦めてしまう人々の声も聞いてきたという。「それでも、前向きに試行錯誤している人たちがたくさんいる」。復興を目指す県民のため、裏方として支え続ける決意だ。