東日本大震災・原発事故

福島県富岡で桜まつり開幕 復興拠点立ち入り規制緩和後初 10日まで

2022/04/10 10:00

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 福島県富岡町の春の恒例イベント「桜まつり2022」は9日、旧富岡二中周辺で始まった。10日まで。東京電力福島第一原発事故に伴う特定復興再生拠点区域(復興拠点)の立ち入り規制が1月に緩和されてから初のまつりで、町民らが青空に映える桜を眺めていた。

 12年ぶりに全長2・2キロの桜並木全体が観桜できるようになり、町外に避難している町民が昔を思い起こしながら桜の下を散策した。二本松市の医師堀川章仁さん(73)は妻かおるさん(65)と、夜の森地区で開業していた医院跡を訪ねた。立ち入り規制の緩和でバリケードが撤去され、自由に立ち入れるようになった。建物は解体してなくなったが、昔の変わらぬまま目の前に連なる美しい桜並木に「夢のよう」と目を細めた。

 いわき市中央台鹿島の佐藤晴夫さん(75)と和子さん(68)夫妻は原発事故が起きるまで夜の森地区に住んでいた。旧富岡二中校庭のにぎわいに「たくさんの人が夜の森の桜を見に来てくれてうれしい。昔に戻った気分」と喜んだ。

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 旧富岡二中周辺の桜並木沿いの道路は歩行者天国になった。同校の校庭では、よさこいや太鼓の演奏などが披露されたほか、ミュージシャン渡辺俊美さん(川内村産まれ、富岡町育ち)ら町にゆかりのあるアーティストが熱唱した。飲食ブースも約20カ所設置され、来場者が町内外の食を満喫していた。10日は「桜満開ストリート」が開かれ、路上でさまざまなパフォーマンスが繰り広げられる。