東日本大震災・原発事故

【原発賠償】中間指針見直し議論へ 東電責任巡る最高裁判断受け 福島県協議会の緊急要望に文科政務官が示唆

2022/04/20 09:45

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 東京電力福島第一原発事故に伴い避難者らが損害賠償を求めた集団訴訟の最高裁決定で、国の賠償基準「中間指針」を上回る東電の賠償責任が確定したことを受け、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)は27日、中間指針の見直しを含めた本格的な議論を始める。19日の福島県原子力損害対策協議会の緊急要望に対して高橋はるみ文科政務官が示した。見直しが実現すれば2013(平成25)年12月以来で、被害の実態に即した賠償を求める声が高まる中、今後の原賠審の対応が注目される。

 県原子力損害対策協議会の要望では、避難者らへの慰謝料などを認めた控訴審判決のうち、今春に最高裁決定で7件が確定した状況を強調。「多くの被害者に共通する損害は指針への反映で公平かつ適性な賠償がされるべき」として、原賠審の早急な開催、県内の現状などを踏まえた中間指針の早急な見直しなどを求めた。

 対策協議会役員の鈴木正晃副知事と木幡浩福島市長、遠藤智広野町長から要望を受けた高橋氏は複数の判決が確定した最高裁決定を踏まえ、「中間指針の見直しなどを含めた対応の要否は原賠審で議論してもらう必要がある」との考えを示し、開催日程を説明した。東電に適正な賠償を指導する経済産業省でも、石井正弘経産副大臣が「東電への判決が確定したのは重く受け止めている。専門家による議論を踏まえ、政府として適切に対応したい」と述べた。

 終了後に記者団の取材に応じた鈴木副知事は長年にわたって協議会として要望を続けてきた経緯を説明し、「来週早々に原賠審を開催することは新たな対応への大切な第一歩と受け止めている」と国の対応を評価した。

 近く始まる今年度の原賠審では、確定した判決の個別の内容について、現在の指針や東電のこれまでの賠償との比較、分析などを進める見通しだ。議論の期間や仮に見直しが実現した場合に賠償拡充を認める範囲なども焦点になるとみられる。

 原発事故に伴う損害賠償を巡っては、中間指針を上回る賠償額を命じた高裁判決が確定して以降、県内で指針の見直しや判決と同水準の賠償などを求める声が高まっている。

 最高裁の決定を受け、福島など3訴訟の原告・弁護団は原賠審に中間指針の見直しなどを求める要請書を送付。県に対しても指針見直しを原賠審に働き掛けるよう申し入れていた。県弁護士会も原賠審に対し、中間指針を改定し、実態に即した賠償と早期救済の実現を求める会長声明を出した。双葉町の伊沢史朗町長は各訴訟の原告だけでなく原発事故当時、町内に居住していた全町民に対し、確定判決と同水準の賠償額を支払うよう東電に要求するなど、各方面に波紋が広がっている。