


8日に福島市のとうほう・みんなのスタジアム(あづま陸上競技場、とうスタ)で開かれた天皇杯JFA第102回全日本サッカー選手権の県代表決定戦を兼ねた福島民報杯・NHK杯第27回県サッカー選手権大会では、福島ユナイテッドFC(福島U)がいわきFCに1-0で勝利。4日に同会場で行われた明治安田生命J3の「福島ダービー」で敗戦した相手に、雪辱を果たした。攻撃陣は数少ない好機を生かし、守備陣はいわきの猛攻を受けながら体を張って守った。
▽決勝
福島U1-0いわきFC
(1-0)
(0-0)
▽得点者【福】長野(前29分)
▽観衆 1405人
【評】福島Uが好機を生かし、いわきに競り勝った。福島Uは前半29分、カウンターを仕掛けると、MF北村のパスを受けたFW長野がゴールを決め先制した。守備陣はGK山本の好セーブ、DF河西のシュートブロックなどではね返した。いわきはシュート12本を放つなど攻め続けたが、ゴールを奪えなかった。
■長野決勝弾
福島Uが好機を確実に生かした。決勝点を決めたFW長野星輝は「先発すれば活躍できる自信があった」と胸を張った。
前半は向かい風の影響もあり防戦一方だった。なかなか攻撃を仕掛けられない中、長野は虎視眈々(たんたん)とゴールを狙っていた。カウンターからMF北村椋太にボールがつながると、長野はクロスが入る前からスプリントを開始。相手との競り合いを制し、ゴール前に抜け出した。北村からパスを受け、右足でゴール左に流し込んだ。
4日に行われた「福島ダービー」は途中出場したものの、結果を残せなかった。チームの役に立てなかった悔しさが募った。新型コロナウイルス感染やけがの影響で、チームは限られた人数で戦っている。この日も交代枠を使わず、先発11人が最後まで出場した。長野も足をつりそうになりながら、走り続けた。
「ゴールでチームに貢献したい」と本戦を見据える。トーナメントの先には、J1の強豪が待ち構える。「強いチームと戦えるのをわくわくしている」と心の強さを見せた。
■好セーブでチーム救う 福島Uの山本
福島UのGK山本海人が好セーブを連発しチームを救った。試合開始直後、追い風を味方にした相手の遠い位置からのシュートをはじいた。「狙ってくるはずだ」と風を頭に入れ準備していた分、反応できたという。正確なキックやスローイング、声による指示でも貢献した。「自分がチームにいる意味を示し続ける」と言葉に力を込めた。
■隙突かれ手痛い失点 いわきの星
5連覇を阻まれたいわきのDF星キョーワァンは試合後、ベンチ裏に1人座りこみ、頭を抱えた。チームのムードメーカーらしからぬ姿を見せた星は「相手の狙い通りのカウンターで失点した。責任を感じている」とうなだれた。
4日に行われたJ3リーグ戦の福島ダービーからカウンターを狙われていた。ハイプレスに人数を割いてボールを奪ういわきのスタイルの裏を突く戦術だ。
この日もセンターバックとして福島Uの早いボール回しや左右への揺さぶりを警戒。184センチの長身を生かした空中戦や声を出す姿で存在感を放ったが、「一瞬の隙を突かれて崩された」という。終始いわきが良い形で攻撃できていただけに、「ピンチらしいピンチはあそこだけ。悔しいの一言」とこぼす。
8月のリーグ戦ではホームで福島Uを迎え打つ。「もう二度と同じ失点はしない」と星。敗戦を糧にライバルへの雪辱を誓った。
■運動量発揮好機を演出 いわきの岩渕
J3リーグ戦から中3日の強行軍ながら先発フル出場したいわきのFW岩渕弘人が持ち前の運動量を発揮し、積極的に相手DFの背後を狙うなど好機を演出した。ただ、2本のシュートは得点にならず、「追い風もあった前半に決められなかったのが痛い」と敗因を分析。本戦出場はかなわなかったものの、「リーグ戦に集中する」と切り替えた。