
初めて臨んだBリーグ2部(B2)プレーオフの準々決勝第3戦。試合終了を知らせるブザーが会場に鳴り響くと、福島ファイヤーボンズの選手に悔しさが広がった。「もう少しだった…」。2敗目を喫して準決勝進出を逃し、悲願のB1昇格が消えた瞬間だった。
対戦相手の仙台89ERSには東地区の2位争いで敗れていた。新型コロナウイルスの影響で下位チームとの試合がなくなるなどの不運もあり、3位に甘んじた。地区2位以内はプレーオフの準々決勝をホームで迎えられ、多くの応援を得られる。
仙台市の会場には連日2千人近い仙台ファンが訪れ、全体をチームカラーの黄色に染めた。相手の得点が決まるたびに喜びの拍手が湧き上がる。県内から駆け付けたボンズファンも熱心に応援したが、数で圧倒された。
不利な状況下でも、ボンズは「タフさ」を発揮した。第1戦は敗れはしたものの、終盤に10点差を1点差まで縮める粘りを見せる。後がなくなった第2戦では、第4クオーター終盤で逆転された後に再び主導権を握り、勝利をもぎ取った。第3戦も堅い守備を見せ、食い下がった。
レギュラーシーズンでは劣勢になると流れを変えられない場面が目立ったが、プレーオフでは何度も持ち直した。短期決戦の重圧の中で戦った選手を森山知広ヘッドコーチは「よく成長してくれた」とねぎらう。選手はプレーオフという大舞台での経験を糧に、さらなるレベルアップを目指す。
今季、B1昇格に近づいたボンズ。選手、コーチ陣だけでなく、クラブの運営側がチームの躍進に大きく貢献していた。