
22日公示、7月10日投開票で行われる参院選の福島県選挙区(改選1議席)に立候補を予定している自民党公認の新人星北斗氏(58)=公明党推薦=、野党統一候補で無所属の新人小野寺彰子氏(43)=立憲民主党、国民民主党、社民党推薦=の公約が18日、出そろった。星氏は少子化・人口減少対策に重点を置き、小野寺氏は家計の負担軽減を強調している。両氏は公約を集会などで支援者らに訴えつつ、無党派層や若年層への浸透に向け交流サイト(SNS)で発信する。
■星北斗氏の選挙公約
(1)新型コロナウイルス対策の強化
・ワクチン接種の推進、新薬提供の加速
(2)地方創生の推進
・交流・関係人口拡大、移住者の受け入れ強化
(3)避難地域の復興加速化と被災者の生活再建支援
・帰還困難区域の避難指示解除への取り組み強化
(4)環境回復の実現
・ALPS処理水の取り扱いに関する情報発信強化
(5)子育て・健康・医療・福祉の充実
・女性活躍に関する取り組みの促進
(6)教育環境と次代を担う人づくりの充実
・情報通信技術(ICT)活用による学びの変革
(7)農林水産業の再生
・県産品の信頼回復と競争力の強化
(8)中小企業などの振興による雇用の創出
・中小企業や小規模事業者の経営支援
(9)新産業の創出・集積
・福島国際研究教育機構の早期実現
(10)観光振興と風評・風化対策の強化
・ウィズコロナを踏まえた新しい観光の推進
(11)災害復旧や防災力向上
・流域治水の考え方の普及と各級主体の連携強化
※星氏の公約は自民県連の公約と同じ
■小野寺彰子氏の選挙公約
(1)物価高から生活と仕事を支える
(生活負担の軽減)
・生活困窮者らへの給付
・時限的な年金減額ストップによる収入安定
・電気、ガス、水道料金などへの補助
・小麦などの食料価格の是正
(2)人口減少社会の中、地域を豊かにする
・デジタル人材の育成
・「6G」を地方から整備
・事業承継の支援
・農業者戸別所得補償制度の再構築
・備蓄米などの政府買い取り枠の拡充
・海外輸出やブランド化促進
・伝統産業の担い手育成
・公共交通網の整備
・防災、減災対策の強化
(3)教育環境の充実
・高等教育、大学などの授業料無償化
・給食費の無償化
・児童手当の延長
・出産費用ゼロ
・産婦人科の充実
・出産や子育てに関する相談体制拡充
星氏は「ふくしまの“命”を守る」をテーマに11項目を掲げた。少子化・人口減少対策として、子どもを産み育てやすい社会環境づくりや地域医療の充実を説いている。
小野寺氏は「暮らしの声を政治に届ける」をテーマに3項目とした。県民の家計負担の軽減に向け、生活困窮者への給付や光熱費・水道料などへの補助を打ち出している。
喫緊の課題である物価高騰への対応について、星氏は政治の安定によって産業や生活を守るための対策を今後も機動的に講じていくと訴える。小野寺氏は国民の収入を安定させるため、年金減額の一時停止や小麦などの食料価格の是正を強調する。
東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水を海洋放出する政府方針については、星氏は処理水の取り扱いに関する正確かつ分かりやすい情報発信の強化や県内外の関係者らへの丁寧な説明を挙げる。小野寺氏は処理水に関する理解が広がっていない現状での放出には慎重姿勢で、トリチウム分離技術の開発加速などを唱える。
星氏の陣営は18日、福島市で自民県連と支援・友好団体の合同選対会議を開き、組織の引き締めを図った。
小野寺氏の陣営は同日、福島市で記者会見し公約を発表した。立民県連などとの選対会議も開き、支持拡大に向けて協議した。
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福島県選挙区にはNHK党公認の新人皆川真紀子氏(52)、政治団体「参政党」公認の新人窪山紗和子氏(47)、無所属の新人佐藤早苗氏(62)も立候補を予定している。皆川氏は食料やエネルギーの自給率向上、窪山氏は農薬などを使わない農業の推進、佐藤氏はいじめのない社会実現などを掲げている。