ふくしま参院選

【2022参院選 福島県民のまなざし】新型コロナ感染対策 日常取り戻したい 接種の不安解消を

2022/06/26 09:35

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アクリル板など幼稚園内の物品を消毒する教諭=白河市・丘の上幼稚園
アクリル板など幼稚園内の物品を消毒する教諭=白河市・丘の上幼稚園

 新型コロナウイルスの感染拡大が長期化している。感染状況は落ち着きつつあるが、コロナ禍前の日常生活にはほど遠い。高齢者のワクチンの4回目接種が始まる中、若い世代を中心に3回目接種が2回目接種分と比べると進んでいないのが実情だ。子ども関連施設などでは感染者集団(クラスター)が発生し、福島県民の不安が尽きない。各政党、候補者はワクチン接種の推進、検査体制の拡充などを打ち出す。県民は「コロナ禍から早く解放してほしい」と訴える。

 いわき市の会社員大滝利伸さん(44)は新型コロナワクチンの2回目接種後、副反応で高熱が出た。「副反応が出たときの苦しさがトラウマになっている」と3回目のワクチン接種をためらっている。

 県の新型コロナ対策本部ワクチン接種チームによると、県内全人口の3回目のワクチン接種率は24日現在、67・6%。2回目の接種率84・6%に比べると伸び悩んでいる。

 県の担当者はウイルスが弱毒化し、重症化する例が減少していることに加え、ワクチンの副反応が出る例が報告されていることなどを要因に、若年層を中心に3回目接種を控える人も少なくないとみている。

 参院選では与野党ともに、さらなるワクチン接種の推進や検査体制の拡充を公約に掲げている。大滝さんは「新型コロナの収束までは時間がかかるはず。副反応を抑える薬や体に負担の少ないワクチンの開発に補助するなど、国は国民が接種をためらわない環境を整えるべきだ」と求めた。

 県内では学校でクラスター(感染者集団)が発生するなど子どもを中心に感染が広がるケースがある。

 白河市の丘の上幼稚園では登園前の体調チェックを保護者に呼びかけている。屋内では園児にマスク着用を促すほか、備品の消毒、常時全ての窓を開けての換気など基本的な感染対策を徹底している。しかし、元気に遊び、触れ合う子どもたちを前に園長の藤田華子さん(79)は感染への不安を拭えない。

 新型コロナの検査体制にも懸念がある。藤田さんは「陰性という検査結果が出たにも関わらず実は陽性だったという事案があれば、対応が遅れ、感染拡大につながってしまう」と指摘する。迅速で正確な検査体制の確立を望んでいる。

 本格的な夏を前に園児のマスク着用による熱中症なども心配している。厚生労働省は屋外など一定の条件下ではマスク着用を不要とする考えを示し、2歳以上の未就学児に対しても「着用を一律には求めない」としている。

 国の方針や県私立幼稚園・認定こども園連合会などのガイドラインに従い、藤田さんは園庭や隣接する山で遊ぶ際には園児にマスクを外させている。

 マスク着用で子どもたちが互いの表情を読み取れず、相手の気持ちを察する能力や感情表現などの発育に影響が出る可能性があると懸念していた藤田さん。「少しでもコロナ禍前の状態で子どもたちを過ごさせたい。日常を取り戻す施策を期待したい」と語った。