ふくしま2022参院選

【2022参院選 福島県民のまなざし】農業 担い手の希望守って 国の支援充実願う

2022/07/03 09:53

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サツマイモの苗を見つめる古川さん。新たな作物栽培や事業挑戦の施策の必要性を訴える
サツマイモの苗を見つめる古川さん。新たな作物栽培や事業挑戦の施策の必要性を訴える
傷ついたナシを確認する荻野さん。若者が就農しやすい環境やセーフティーネットの整備を求める
傷ついたナシを確認する荻野さん。若者が就農しやすい環境やセーフティーネットの整備を求める

 参院選で各政党や候補者は食料自給率や農家所得の向上、生産基盤の強化など農業振興策を訴えている。新型コロナウイルス感染拡大による米価の下落や相次ぐ自然災害、担い手不足、肥料の高騰など農業を取り巻く環境は厳しさを増している。「時間がかかっても必ず公約を実現してほしい」。農家は若者が希望を持って農業ができるよう、万が一の際でも中長期的に支援してくれるセーフティーネット(安全網)の構築などを求める。

 会津坂下町で農業法人アルス古川の最高経営責任者(CEO)を務める古川陽平さん(42)は今年度、水田約50ヘクタールのうち、9ヘクタールを転作しサツマイモの栽培を始めた。サツマイモは数年前から全国的に品薄で価格が高騰傾向にあることに目を付けた。「コメだけでは会社存続は厳しい。新しい分野に挑戦しなければならない」と苗を見つめた。

 米価安定のための施策はもちろんだが、農業者が新たな作物栽培や事業に進出するための施策が不可欠と感じる。今回のサツマイモ転作に当たっても設備投資が必要だったが、十分な補助制度はなかった。もみ殻を炭化させて肥料に活用する事業なども思い描くが実現には多額の費用がかかる。

 「政治の力で若者が希望を持って農業に取り組める環境を整えてほしい」と訴えた。

■6月の降ひょう被害「農家の心が折れてしまう」

 6月初めに中通りを中心に甚大な被害が確認された降ひょうでは、県内18市町村で被害が確認され、農産物の被害は12億8865万円に上った。

 果樹や露地キュウリの生産が盛んな須賀川市は、福島市に次ぐ3億9103万円の被害があった。昨春も降霜、降ひょうがあり、頻発する天候不順に生産者は農業の将来を憂う。須賀川市和田でナシやブドウを育てる荻野仁士さん(44)は「ここまで被害が続くと農家の心が折れてしまう。このままでは産地が消えてしまいかねない」と危機感を抱く。

 昨年のひょう害では果樹に傷やくぼみができ、収量や単価が著しく下がった。今年はナシの9割ほどがひょうで傷ついた。

 ただ、ブドウの一部は今年初めに設置した雨よけ施設によりひょうの被害を免れた。設備への先行投資の重要性を改めて感じたが、新たな設備投資は決して安い買い物ではない。災害に遭い志半ばで農地を手放す仲間の話も聞くという。

 選挙公約では、担い手確保など中山間地域の課題解消や農家の経営の安定化が掲げられている。荻野さんは「時間がかかってでも現実にしてほしい」と願う。

 天候などに左右されたとしても生活を維持できるセーフティーネットの必要性を訴える。「中長期的にサポートしてくれる『お守り』のような支援が必要」と強調した。

■肥料価格が高騰「価格に転嫁できない」

 コロナ禍やウクライナ情勢などで肥料価格も高騰している。ネギなどを栽培している郡山市のなかた農園社長の中田幸治さん(46)は「肥料価格は従来の2倍近いが価格に転嫁できない。使いやすい補助メニューを拡充してほしい」と求めた。