ふくしま参院選

【ふくしま2022参院選 比例情勢】[野党] 労組票固め切れるか 政党間のきしみ影響

2022/07/04 09:35

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■福島県関係の比例代表立候補者 (敬称略)

本文 岩城 光英 72 自 民 元(いわき市在住)

山口 和之 66 維 新 元(郡山市在住)

岩渕  友 45 共 産 現(福島市在住)

丸本由美子 59 共 産 新(須賀川市在住)


 10日投開票の参院選比例代表で、立憲民主党県連は県内25万票、国民民主党県連は県内5万票の得票目標を掲げる。立民県連は4人の地元国会議員をはじめ、県議、市町村議の後援会組織を基盤に支持拡大を図る。国民県連は昨年4月に県連組織を設立したばかりで全県的な体制が構築できていないため、県連役員に党幹部の国会議員を就けて知名度向上に努める。両県連は共通の支持母体である連合福島に対して、立民と国民がそれぞれ公認している産業別労働組合(産別)候補の支持徹底を呼びかけ、足元を固める。

 立民県連と国民県連、連合福島などで構成する五者協議会は、福島県選挙区(改選一議席)で野党統一候補の無所属の新人小野寺彰子(43)を支援している。ただ、立民も国民も公認ではなく、推薦にとどめた。両党と産別は原子力や安全保障政策などで必ずしも一致していない。比例票の獲得に向けても労組関係者に対しては政党色の打ち出しを控えている。立民県連の幹部は「(連合福島は)官公や民間の労組が同居するため、壊れやすいガラス細工のような関係で、政党名は打ち出しにくい。組織間の不協和音で労組票が散らばれば与党を利することになる」と神経をとがらせる。

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 「福島から野党の力を伸ばし政治に緊張感を取り戻す。10日までどれだけ票を積み上げられるかが勝負だ」。連合本部の清水秀行事務局長は2日、福島市で声を張り上げた。炎天下、組合員ら約200人に団結を訴えた。

 「反自民・非共産」を掲げる連合福島は産別が推す組織内候補8人全員の勝利に向け、労組票を固めている。ただ、組織内候補は立民公認4人、国民公認4人と割れており、一体的な支援が難しい。政策の違いから、自治労など官公労組は立民、電力総連など民間労組は国民を支持。自民党に接近する労組もあり、組合員は戸惑いや不満を抱えながらの選挙戦となり、労組間の連携不足を指摘する声もある。

 連合福島傘下の約500労組の組合員は計約7万人に上る。組織内候補を擁立した各産別は物価高騰に加え、度重なる自然災害で逼迫(ひっぱく)する労働環境の改善を訴える。

 ただ、連合本部が中央政界で強く促してきた参院選前の立民、国民両党の合流は果たせず、地方での国政選挙の戦い方を難しくしている。国民は2022(令和4)年度当初予算に賛成するなど与党寄りで、自民が連合に接近した波紋も消えない。連合福島幹部は中央と地方の温度差を念頭に「(立民と国民の)一体感を欠いている」と不満を口にする。

 コロナ禍で労組の活動が制限され、組織力の活性化も急務だ。政党名ではなく組織内候補の名前を書いて投票するよう呼びかけを徹底。2016(平成28)年の参院選比例代表で旧民進党が獲得した約25万票のうち候補者名での得票は23・7%だったが、前回2019年の候補者名での得票割合は旧国民が31・2%、旧立民が14・1%と差がつき、野党分裂の影響が浮き彫りとなった苦い経験があるためだ。

 産別幹部の一人は参院選後の野党再編の可能性を見据え、「今回の当落が産別の政策実現の可否を決める」と危機感を募らせる。

   ◇  ◇

 立民を超える議席獲得を目標に掲げる日本維新の会は、首都圏や関西圏以外での地方票の掘り起こしに注力している。元職山口和之(66)=郡山市在住=が出身の南東北グループを軸に支持を広げる戦略だ。県内6万票の獲得を目指している。

 共産党県委員会は現職岩渕友(45)=福島市在住=の議席維持に向け、新人丸本由美子(59)=須賀川市在住=と二人三脚の選挙戦を展開。東北、北海道、北関東を回る岩渕が県内を空ける時は丸本がカバーし、県内10万票の得票を狙う。(敬称略)