ふくしま参院選

【2022参院選 福島県民のまなざし】子育て支援 産み育てやすい環境に 抜本的解決策望む

2022/07/07 09:50

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家庭の負担軽減につながる施策の充実を求める広野さん(右)
家庭の負担軽減につながる施策の充実を求める広野さん(右)

 人口減少が進む中で、少子化対策は参院選の焦点の一つになっている。各党は出産・育児をしやすい環境づくりなどを訴えるが、有権者からは抜本的な解決策につながるのか疑問の声が上がる。長引く新型コロナウイルス禍や物価高が家計を圧迫するなど、子育て世帯を取り巻く課題は山積している。有権者は「安心して子育てできる体制を整えてほしい」と思いを込める。

 福島市の主婦広野和恵さん(41)は長女桜花ちゃん(9)と次女結菜さん(6)を育てている。今春、結菜さんが小学生になり、学校で必要な備品などの出費が増えた。子どもの将来のため少しずつ貯金しているが、目の前の支出を優先してしまうのが現状だ。「物価高などで子育て世帯の負担が増えている。児童手当の増額や延長など具体的な支援策を示し、速やかに実行してほしい」と訴える。

 内閣府が昨年公表した調査結果によると、日本人の約6割が「子どもを産み育てにくい国」と感じていると回答した。少子化が大きな課題であるにもかかわらず子育て支援策が実効性を上げてこなかったことが背景にあるとみられる。広野さんは「子どもの一時預かりなど子育て世帯の声を反映させた施策を進め、家庭の負担軽減につなげてほしい」と切実な思いを口にする。


 田村市の田尾晴香さん(33)は、4人の男児を育てる。小学2年の次男は自閉症、小学1年の三男は知的障害の診断を受けている。障害児を育てる親たちと悩みや不安を語り合い、情報交換するために発達障害児親の会「くわがたの会」を立ち上げた。

 親が抱える課題のうち、最も大きいのは就学後の「放課後問題」だという。専門的な指導やケアへのニーズの高まりを受け、県教委は県内各地に特別支援学校を増設した。一方、放課後に子どもを預かる施設は不十分だという。多くは家庭で面倒を見ざるを得ず、田尾さんも在宅の仕事を選んでいる。

 子育て関連の政策を見ると、障害児に目を向けた施策が少ないと感じる。田尾さんは「私たちの小さな声にも耳を傾けてくれる政治であって」と望む。


 2021(令和3)年の福島県の労働条件等実態調査によると、県内男性の育児休暇(育休)取得率は13・5%で、女性の96・3%と比較すると大きな差がある。

 喜多方市の電気機器製造業「特殊精機」は直近2年間で女性4人が育休を取ったが、男性はない。社長の慶徳孝幸さん(63)は「男性社員の育休取得を進めたいが、現実的には難しい」と話す。対象となる男性社員が会社の中核となり、育休取得が難しい環境になっているという。「中小企業は人員の確保が難しい。人手不足を解消できるような支援策を講じてほしい」と求めた。