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福島県大会:試合速報

仲間と勝利目指す 9日開幕の夏の高校野球福島大会 原町、あさか開成・小野、保原

2022/07/08 09:40

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少しでも長く仲間と野球をしたいと願う原町の太田選手
少しでも長く仲間と野球をしたいと願う原町の太田選手

 福島県郡山市のヨーク開成山スタジアム(開成山野球場)で9日に開幕する夏の高校野球福島大会で、球児はそれぞれの思いを胸に勝利を目指す。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で避難した選手は地元の南相馬市に戻り、仲間と少しでも長い夏を過ごしたいと願う。今大会唯一の連合チームのあさか開成(郡山市)・小野(小野町)は出場できる喜びをプレーで表現する。来春に梁川と統合し「伊達」となる保原(伊達市)は、歴史に名を刻むと奮闘を誓っている。

 「仲間がいたから、心が折れずにやってこられた」。避難生活を経て地元に戻った原町3年の太田慧吾選手(18)はチームメートに感謝している。

 小学校入学直前に被災し、父の実家がある北海道で9年間過ごした。避難先では野球に打ち込む充実した日々だったが、南相馬に残り建設業を営んでいた父のそばにいたいと原町高を進学先に選んだ。だが、長く離れていた地元に友人はいなかった。コロナ禍の休校で満足に学校に通えず、新たな交友関係も築けずにいた。

 部活動が始まると、仲間が不安を消し飛ばしてくれた。厳しい練習は同級生6人で励まし合い乗り越えた。部活終わりに、他愛のない話をする時間が何よりも楽しかった。昨秋の県大会でチームは16強入りし、自身も全試合で安打を放つ活躍を見せた。プレーでも仲間の信頼を集める存在になった。

 11日に初戦を迎える。「周りが受け入れて支えてくれたからこそ、今の自分がある。できるだけ長くこの仲間とプレーしたい」と甲子園を目指す。


 あさか開成・小野の目標は「夏2勝」。あさか開成3年の服部蒼生主将(17)は「出場できることに感謝している。少ない人数で勝ち上がる姿を見せる」と闘志を燃やす。

 両校は昨年10月からともに戦っている。平日は各校で練習し、休日は月に2、3回顔を合わせ練習試合に臨んだ。それぞれの課題や練習の情報を共有し、チームメートとしての一体感を高めてきた。

 小野2年の高野亮太主将(16)は「結成当初より団結力が高まっている。勝利に貢献したい」と決意を語った。


 1965(昭和40)年に夏の甲子園に出場した伝統校が、「保原」として最後の夏に挑む。部員は3年生が10人、1年生が3人。選手が少ないからこそ抜群のチームワークがあると前向きに捉える。

 甲子園を知る野球部OBが同校を訪れ、熱心に指導してくれる。3年の津田龍斗投手(18)は「必ず期待に応える」と奮い立つ。3年の今村達也主将(17)は「勝って地域の方に恩返しがしたい」と士気を高めた。