東日本大震災・原発事故

8月30日午前0時に避難指示解除 福島県双葉町の復興拠点 居住再開へ 県内3例目

2022/07/15 09:15

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 東京電力福島第一原発事故に伴い福島県内で唯一、全町避難が続いている双葉町は、帰還困難区域の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が8月30日午前0時に解除される。14日、国と県、町の三者が町役場で協議し合意した。東日本大震災と原発事故から11年5カ月ぶりに町内での生活が可能になり、復興の加速や住民の帰還が期待される。今後、政府原子力災害対策本部が正式決定する。復興拠点の避難指示解除は同県葛尾村、大熊町に続いて3例目。

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 三者協議は、いわき市の双葉町役場いわき事務所で非公開で行われた。伊沢史朗町長と伊藤哲雄町議会議長、政府原子力災害現地対策本部長の石井正弘経済産業副大臣、鈴木正晃副知事が協議して合意し、記者会見で発表した。

 伊沢町長は「長い期間がかかったが、やっと住民の皆さんに戻っていただける環境が整った。安心して戻ってきてほしい」と述べ、引き続き復興拠点外を含む町全体の復興に向けて全力を尽くすとした。JR双葉駅東側に完成した町役場について8月27日に開庁式、9月5日に業務を開始することも明らかにした。

 石井本部長は「避難指示解除は復興のスタート。一日でも早く古里に戻れるよう関係機関と一致協力して取り組んでいく」とし、鈴木副知事は「町全体の復興の大きな一歩であり、避難指示解除に向けて取り組む他町村にとっても住民帰還に向けた呼び水になる」と期待を込めた。

 双葉町の復興拠点はJR双葉駅周辺を含む約555ヘクタール。7月1日時点で町民の約6割に当たる1374世帯3349人が住民登録している。復興産業拠点などとして2020(令和2)年に先行解除された町北東部などの区域も合わせると、町の総面積の約15%に当たる約775ヘクタールが解除エリアとなる。


■進む住環境整備 帰還意欲醸成に課題も

 双葉町は復興拠点の避難指示解除に向け除染を進めるとともに、JR双葉駅周辺に新たなまちづくりを進めてきた。町役場や住環境、診療所などが整い、6月に策定した第3次町復興まちづくり計画には、にぎわい創出に向けた商業施設建設など具体的な施策が盛り込まれた。

 住民帰還に向けた環境整備も進む。今秋に入居が始まる駅西側の災害公営住宅と再生賃貸住宅は全86戸に対して53世帯が事前申し込みを行った。町は解除から3、4年後の町内の居住人口目標を約1200~1500人としている。

 ただ、帰還促進には課題も多い。今年1月に復興拠点で始まった準備宿泊の登録者数は7月13日現在で延べ44世帯67人、避難指示解除まで継続的に登録しているのは7世帯11人にとどまる。復興庁などが昨夏に実施した町全体の住民意向調査では、帰還を考えている人は回答者の約1割だった。

 帰還困難区域の復興拠点外には727世帯2002人が住民登録している。岸田文雄首相は「2020年代に帰還意向のある住民が帰還できるように取り組む」とし、今夏からは拠点外の住民らに対する帰還意向調査を実施する予定だが、住民からは全域除染を強く求める声が上がる。町は今後も帰還困難区域の全域除染と解除に向けた具体的な施策の明示を国に求めていく考えだ。