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福島県大会:試合速報

光南 涙を強さに 夏の高校野球福島大会 決勝

2022/07/28 10:20

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【聖光学院-光南】粘り強い投球を見せる光南の先発小林
【聖光学院-光南】粘り強い投球を見せる光南の先発小林
【聖光学院-光南】9回裏、光南2死一、二塁、湯沢(中央)が二ゴロに倒れ、試合終了。肩を落とし引き揚げる
【聖光学院-光南】9回裏、光南2死一、二塁、湯沢(中央)が二ゴロに倒れ、試合終了。肩を落とし引き揚げる
終盤の粘りも及ばず、優勝を逃し涙ぐむ光南ナイン
終盤の粘りも及ばず、優勝を逃し涙ぐむ光南ナイン

▽決勝 聖光学院6-3光南

 聖光学院が中盤に奪ったリードを守り切り、3年ぶり17度目の甲子園への切符を手にした。

 聖光学院は1点を追う二回、生田目陽(はる)のスクイズなどで逆転した。同点の五回には1死一、三塁の好機に安田淳平が右越え本塁打を放ち、3点を勝ち越した。先発佐山未来は3失点完投した。

 光南は一回1死一、三塁から金沢太陽の二ゴロの間に先制した。四回に二瓶公太が押し出し四球を選び同点とした。打線は10安打を放ったが、八回2死一、三塁、九回2死一、二塁の好機であと一本が出なかった。


■一歩も引かず 被弾直後、連続三振奪う 主戦小林「この夏は一生忘れない」

 春季東北大会王者の壁は厚かった。先発し5回5失点だった光南の主戦小林貫大は「聖光学院相手にひるまず投げられた。後悔はない」と、目を赤くしながらも晴れやかだった。

 2-2で迎えた五回一死一、三塁、外角のチェンジアップを狙われ、右翼席に運ばれた。そこで動じなかった。仲間と声をかけ合い、気持ちを切り替えた。チェンジアップとスライダーで2者連続空振り三振に仕留めた。勝ち越しを許した悔しさに唇をかみつつ、仲間の待つベンチへ戻った。

 昨秋から集中打を浴びて敗れる試合が続いた。弱いメンタルを改善するため、三振を奪ったり、打席で安打を放ったりした時は大きな声でほえるよう意識した。「声を出せばどんな場面でも平常心でいられる」。最後の夏、たくましく成長した姿を見せた。

 プロ志望届を提出し、競技を続ける考えだ。「この夏の経験は一生忘れない。変化球の切れを磨き、新たな気持ちで野球と向き合う」。流した涙は人生の大きな財産となる。


■仲間とともに成長 最後の打者・湯沢

 光南の湯沢一颯(いぶき)は九回2死一、二塁で打席に立った。2死から金沢太陽、石本星空がつなぎ、本塁打が出れば同点の場面。仲間の「お前らしく」の声に力強いスイングで応えたが、結果は二ゴロだった。最後の打者になり涙を流し、その場でうずくまった。

 仲間に支えられ、成長した3年間だった。練習では背番号17の和知遥人とペアを組み、互いに助言し技術を高め合ってきた。

 湯沢はもともと緊張しやすい性格。和知からいつも「リラックスして」と声をかけられ、弱点の克服に取り組んできた。

 湯沢は今大会、「全て出し切ろう」との思いで戦った。準決勝までチーム最多の8打点を挙げ、勝負強さを見せた。九回は初めて得点圏に走者を置いての打席。以前なら緊張で体が固まってしまう場面だったが、仲間の声を思い出し平常心でプレーした。結果は伴わなかったが、3年間の成長を実感した瞬間だった。

 甲子園出場の夢は後輩に託す。決勝で先発した2年生の湯田嵐士(あらし)と島田祥吾に「中心としてチームを引っ張って」とエールを送った。