東日本大震災・原発事故

原発事故影響の幼稚園園舎開放 福島県大熊町

2022/08/19 21:36

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園内に残されていたスケッチブックを開き、在籍当時に思いをはせる女子生徒
園内に残されていたスケッチブックを開き、在籍当時に思いをはせる女子生徒

 東京電力福島第一原発事故の影響で使われなくなった福島県大熊町立大野幼稚園の園舎が19、20の両日、開放されている。原発事故前に通園していた元園児が集まり、思い出の品を持ち帰るなど当時に思いをはせた。

 町は先月28日から3日間、同園を開放しており、今回が2度目。文房具などを持ち出せる機会として、当時の園児に個別に連絡し来園を呼びかけた。

 大野幼稚園には震災前、園児196人が在籍していた。震災発生当時は預かり保育の約60人が残っており、教職員が園児を連れて園庭に避難した。その後、原発事故が発生し、園児は各地に離散した。

 19日は元園児と保護者ら約40人が訪れた。会津若松市に避難している高校1年の女子生徒(15)は震災当時、年少組だった。震災前に通っていた教室に入ると、当時使っていたスケッチブックやクレヨンなどが入った道具箱、着替えの洋服などが残っていた。「教室に残されたものを手にすると、少しずつ当時の記憶を思い出した」と振り返った。

 大野幼稚園は震災後に会津若松市に移転し、町内の熊町幼稚園と合同で再開した。幼児が少ないなどの理由から今年度末に閉園するため、9月以降に園舎の解体が始まる。