

第104回全国高校野球選手権大会第13日は20日、兵庫県西宮市の甲子園球場で準決勝2試合を行う。初めて4強入りした福島県代表の聖光学院は第一試合(午前9時開始予定)で仙台育英(宮城)と対戦する。
3年ぶり17度目出場の聖光学院は一回戦の日大三(西東京)を4-2、2回戦の横浜(神奈川)を3-2、3回戦の敦賀気比(福井)を8-1で下した。準々決勝は九州学院(熊本)を10-5で退けた。
仙台育英は3年ぶり29度目の出場。初戦の二回戦は鳥取商に10-0で大勝した。三回戦は明秀学園日立(茨城)に5-4、準々決勝は愛工大名電に6-2で勝利した。
準決勝で東北勢が対戦するのは初めて。東北勢は春夏通じて優勝経験がない。
■野手陣、打撃に磨き練習公開
聖光学院は19日、兵庫県西宮市内の球場で行った練習を報道陣に公開した。準決勝の仙台育英戦に向け、約2時間半にわたって汗を流した。
野手陣は練習時間の大半を打撃練習に充て、ピッチングマシンや打撃投手の球を打ち込んだ。赤堀颯主将(3年)は「初球から積極的に振り、どんな形でも塁に出て、チームを勢いづけたい」と意気込んだ。
18日の九州学院(熊本)戦で132球を投げて完投した主戦の佐山未来投手(3年)はキャッチボールやストレッチなど軽めのメニューで調整した。「絶対にチームを負けさせないという思いでマウンドに上がり、必死の覚悟で立ち向かう」と闘志を燃やした。
小林剛介投手(3年)はブルペンに入り、伸びのある直球や鋭い変化球を投げ込んでいた。
■聖光 斎藤監督×仙台育英 須江監督 速球の対応鍵 左打者に期待
聖光学院の斎藤智也監督と仙台育英の須江航監督は19日、オンライン取材に応じ、準決勝の意気込みを語った。両監督に試合のポイントなどを聞いた。
-準決勝まで勝ち上がれた要因は。
斎藤監督 一戦一戦に懸ける集中力の高さと試合を自分たちで動かすという信念。
須江監督 打率が低くても守備で貢献するなど、選手同士が弱点を補い合い役割を全うした。
-対戦相手の印象は。
斎藤監督 4月の練習試合では完敗した。速球を誇る投手陣がそろうチーム。
須江監督 守備のミスがほぼなく、粘り強い守りからリズムをつくるチーム。
-試合のポイントは。
斎藤監督 投手陣は総力戦になる。速球に対応できるかが鍵。犠打やエンドランを有効に使えるかも重要だ。
須江監督 仁田陽翔ら準々決勝で登板しなかった選手が万全な状態で控えている。打撃は左打者に期待したい。
-試合への意気込みを。
斎藤監督 豊富な投手陣に対して得点を重ね、2、3点の勝負に持ち込めれば勝機がある。
須江監督 聖光学院は今季東北の高校野球を引っ張ってきた。準決勝で戦えるのが楽しみ。
■緻密さに長打も 聖光学院×仙台育英 層の厚い投手陣 両校戦力分析
【聖光学院】
僅差で勝利した1、2回戦から徐々に打撃陣が調子を上げ、3回戦と準々決勝は相手を圧倒した。緻密な野球に長打力が加わった。
主戦佐山未来は直球の状態が良く、得意の変化球が生きている。4試合中2試合で完投し、疲労を回復させられるかが鍵になる。小林剛介らの継投も視野に入れる。守備陣は2失策と堅い。鉄壁の内野陣は打球に対する反応が抜群で、外野は安田淳平の守備範囲が広い。強肩捕手の山浅龍之介が盗塁を許さない。
1番赤堀颯が積極的にスイングし、結果を残している。全打者が小技を使う。安田、三好元気、山浅の中軸3人は長打力があり、脅威となっている。下位で生田目陽がいぶし銀の働きをする。
【仙台育英】
小刻みな継投で勝ち上がってきた。手堅い守備と豊富な投手陣で守り勝つ。小技や足を使い、確実に得点を狙う。
投手陣は層が厚い。140キロ超の直球を投げる投手を次々に投入する。投手5人全員が全力投球できるのが強みで、高い奪三振率を誇る。左腕古川翼は変化球の切れもいい。右の本格派高橋煌稀は制球力に優れる。堅守からリズムをつくり、攻撃につなげる。
チーム打率は3割9分4厘。調子のいい選手を見極め、毎試合打順を変更した。切れ目のない打線を組む。橋本航河は出塁率が高く、盗塁ができる。遠藤太胡、尾形樹人は勝負強い。病気を克服し出場している岩崎生弥がラッキーボーイ的な存在となっている。