
夏の甲子園、聖光学院は好投手を擁する全国の強豪に真っ向勝負を挑んだ。磨いてきた打力を存分に発揮し、快進撃につなげた。
一回戦、日大三戦は4-2で逆転勝利。二年生二人が本塁打を放った。斎藤智也監督が「今が成長期」という高中一樹選手は逆転弾、「ボールを拾う技術はチーム一」と評価する三好元気選手はダメ押しの一発をスタンドに放りこんだ。
二回戦は県勢が苦手としてきた神奈川県勢の横浜戦。大会屈指の左腕を攻略し、十一安打を浴びせた。3-2の接戦を制した。相手監督も「点差以上に押された」と脱帽した。8-1で大勝した敦賀気比との三回戦では、安田淳平選手が決勝本塁打を打った。今大会チームが放った本塁打三本は、県勢として甲子園での最多となった。三回戦まで、全国優勝経験校を次々に撃破し、激戦のブロックを突破した。
迎えた九州学院との準々決勝。初の4強を懸けた一戦は、序盤から打線が猛攻を仕掛けた。一回に赤堀颯主将が四試合連続となる初回の安打で出塁し、打線に火を付けた。三好選手の二塁打、生田目陽(はる)選手の適時打などで一挙五点を挙げた。四回は安田選手、三好選手、山浅龍之介選手の三連続適時打で四点を追加した。10-5で勝利し、準決勝進出を果たした。
伝統の堅守も健在だった。準々決勝までの四試合で失策は二。鍛えられた守備陣が何度も投手を救った。捕手山浅選手は正確なスローイングで盗塁を許さなかった。内野は一塁伊藤遥喜選手、三塁生田目選手が強い打球に反応し、アウトをもぎ取った。外野は中堅安田選手、右翼三好選手が俊足と強肩を披露した。三好選手が一回戦で見せた、本塁への送球で犠飛による生還を防いだ場面は、試合の流れを変えるビッグプレーとなった。
勢いに乗る聖光学院と総合力で優れる仙台育英による、東北勢同士が初めてぶつかった準決勝の舞台。全国制覇をするために克服すべき課題が見えた一戦となった。