論説

【全国旅行支援】経済回復の弾みに(9月21日)

2022/09/21 09:40

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 新型コロナウイルス感染者の減少傾向が続く中、政府は「Go To トラベル」に代わる全国での旅行支援を月内に開始する方向で調整している。今月下旬の3連休明けから当面、年末までを対象とする案が浮上している。県内でも旅行客の受け入れ態勢を整え、コロナ禍で疲弊した地域経済の立て直しに生かす必要がある。

 県内の観光入り込みは、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が起きた2011(平成23)年に3521万人に落ち込んだ。その後は徐々に回復し、2019年は震災と原発事故発生前と同水準の5634万人に戻った。しかし、新型コロナ感染拡大に伴い2021年の観光客は3545万人で、2年前と比べて4割近く減少した。

 一方で、コロナ禍でも相双地区は観光客が3割近く増えている。「道の駅なみえ(浪江町)」「東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)」「とみおかアーカイブ・ミュージアム(富岡町)」が相次いでオープンし、請戸小(浪江町)の震災遺構としての一般公開も始まった。県は各施設への来場者が伸びにつながっているとみている。本県復興の現状を多くの人に知ってもらうためにも各施設を目玉に、さらなる誘客に努めてほしい。

 消費者庁による2月の調査で、原発事故に伴い県産農林水産物の購入を避ける消費者の割合は6・5%で、過去最低となった。JAふくしま未来(本店・福島市)が扱った今年度のモモの販売額は、高い品質が評価され、過去最高の60億円を突破した。安全、安心でおいしい県産品を観光商品として積極的に売り込み、誘客に生かす取り組みも求めたい。

 政府は旅行支援と合わせ、入国者数の上限撤廃や個人旅行の解禁などを検討している。円安は日本にとって物価高の要因となるが、外国人にとっては割安で日本の自然や文化を楽しめ、誘客の後押しにもなる。

 県は、外国人観光客が県内に宿泊滞在するツアーを企画した旅行会社に対して、1人当たり最大1万5千円を独自に補助している。団体だけでなく、個人旅行も対象に加えれば、県内に足を運ぶ訪日客は増えるのではないか。

 県内の感染状況は改善傾向にあるものの、再拡大への注意は怠れない。ホテルや旅館などの受け入れ側は施設内での換気や消毒、観光客側はマスク着用や手洗いなど、安心して旅を楽しめるための対策も改めて徹底しなければならない。(神野誠)