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福島県大会:試合速報

聖光学院が準優勝 栃木国体高校野球硬式決勝 大阪桐蔭に粘り強い戦い 後輩に夢託す

2022/10/06 09:45

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涙を流す高中選手(右)を抱き寄せる赤堀主将
涙を流す高中選手(右)を抱き寄せる赤堀主将

 宇都宮市で5日に行われた第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」高校野球硬式の決勝。福島県代表の聖光学院は強豪の大阪桐蔭を相手に一歩も引かず、粘り強い戦いを繰り広げた。夏の甲子園で実現できなかった「日本一」を国体で達成しようと必死で食らいついたが、頂点にはあと一歩届かなかった。夏の甲子園を引っ張った3年生は高校最後の公式戦。「俺たちを越えてほしい」と後輩たちに夢を託した。

 本気で全国制覇を目指していたからこそ悔しさを抑えられなかった。スタンドにあいさつに向かうナインの目に涙が光っていた。

 日本一を目指した8月の全国高校野球選手権大会は準決勝で敗れた。国体出場が決まると、選手たちは「もう一度、頂点を目指せる」と気持ちを高ぶらせた。3年生はそれぞれテーマを持ち、自主練習に取り組んだ。赤堀颯主将と安田淳平選手(ともに3年)が18歳以下のU18日本代表に選ばれ、ワールドカップ(W杯)に出場。同世代のトップ選手の技術を吸収し、チームに還元した。

 国体1回戦は、夏の甲子園準々決勝の相手の九州学院に再び勝利し、準決勝では地元の国学院栃木を下した。勢いに乗る中、甲子園で夏5回、春4回の優勝を誇る大阪桐蔭が決勝で立ちふさがった。先発の主戦佐山未来投手(3年)はわずかに甘くなった球を痛打され、5失点を喫した。打線は9安打を放ちながら、要所で抑えられた。

 赤堀主将は「差は歴然だった。自分たちの捉えた打球は単打となり、相手は外野手の頭の上を越えた」と力負けを認めた。「経験を糧に、差を少しでも埋めてほしい」と後輩にさらなる進化を望んだ。

 唯一の適時打を放ったのは2年生で4番に座る三好元気選手。同じ2年の高中一樹選手が本塁を踏んだ。新主将となった高中選手は、3年生から教わった攻める姿勢や接戦での粘り強さをチーム全体に浸透させるつもりだ。「全力で戦う大切さを先輩から一番近くで学んだ。3年生がくれたものを自分が体現し、1、2年生を引っ張っていきたい」と誓った。

 試合を終え、高中選手を赤堀主将が抱き寄せた。後は頼んだ―。悔し涙とともに思いが受け継がれた。