
任期満了に伴う第22回福島県知事選は13日に告示され、3選を目指す無所属の現職内堀雅雄氏(58)=自民、公明、立憲民主、国民民主各党の県組織支援=と、団体役員で無所属の新人草野芳明氏(66)=共産推薦=が立候補した。内堀県政2期8年の評価をはじめ、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興、処理水の海洋放出、人口減少、物価高、新型コロナ禍など喫緊の課題への対応などが焦点となる。両候補は福島市で第一声を上げ、17日間の選挙戦に入った。投開票は30日に行われる。
内堀候補は福島市の福島稲荷神社で必勝を祈願した後、市内のさんかく広場で第一声を上げた。相次ぐ自然災害、コロナ禍、急激な人口減少に直面しているとし、「原発事故の風評被害との長い闘いは続く。復興と地方創生に全身全霊で挑戦したい」と述べた。管野啓二総合選対本部長があいさつし、根本匠衆院議員(自民、福島県2区)らが激励した。
その後、選挙カーで浜通り地方に向かい、新地町から沿岸部の10市町を南下しながら支持を訴えた。双葉町やいわき市などで街頭に立ち演説した。
草野候補は福島市のJR福島駅東口でマイクを握った。福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を中止すべきと主張し「知事は設備着工を事前了解するなど海洋放出を事実上、容認している」と批判した。井上裕子選対本部長があいさつし、岩渕友参院議員(共産、比例代表、福島市在住)らが激励の言葉を寄せた。
福島、二本松、本宮、郡山の4市などを選挙カーで巡り、政策を訴えた。夕方には須賀川市で決起集会を開き、支援者らと団結を強めた。
次期任期中の2025(令和7)年度末で、政府が復興事業を手厚く支援する第2期復興・創生期間が終了する。帰還困難区域全域の避難指示解除、政府が浜通りに整備する福島国際研究教育機構の具現化などの中長期的な取り組みを着実に進めるための財源と体制の確保が大命題となる。次期知事には福島県の将来像を明示し、県政運営をリードする手腕が求められる。
■知事選立候補者(届け出順、敬称略)
◆内堀 雅雄(うちぼり まさお) 58 無所属 現 知事
【経歴】長野県出身。長野高、東京大経済学部卒。総務省自治財政局地方債課理事官、県生活環境部次長、県生活環境部長、県企画調整部長、副知事
【公約】(1)原子力災害からの復興・再生(2)「健康長寿県」の実現(3)産業振興による地域活性化や移住・定住の促進(4)子育て・教育環境の整備
◆草野 芳明(くさの よしあき) 66 無所属 共産党推薦 新 団体役員
【経歴】郡山市出身。安積高、福島大教育学部卒。県立高教諭、県立高教組専従役員、県立高教組県南支部執行委員、郡山地方労連副議長
【公約】(1)東京電力福島第1原発の処理水海洋放出の中止(2)全59市町村の学校給食費の無料化(3)県立高の統廃合方針の見直し(4)医療・保健所体制の強化
■新人高橋氏は立候補取りやめ
知事選への立候補を予定していた郡山市の会社経営の新人高橋翔氏(34)は13日、立候補取りやめを表明した。福島市で取材に応じ「郡山市選挙区の県議補選に立候補する方向だ」と述べた。
■県内有権者数156万1993人 前回より5万2381人減
福島県県選管委が12日現在で発表した選挙人名簿登録者数(有権者数)は156万1993人(男76万3472人、女79万8521人)。
4年前の前回知事選の告示前日(10月10日)時点の有権者数と比べて5万2381人少ない。