東日本大震災・原発事故

2024年度の商用化目指す 福島県浪江 日産自動車展開のオンデマンド配車サービス実証実験

2022/12/20 09:21

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有
実証実験で浪江町内を走る車両
実証実験で浪江町内を走る車両

 日産自動車が福島県浪江町で展開しているオンデマンド配車サービスの実証実験「なみえスマートモビリティ」は2024(令和6)年度の商用化を目指す。これに先立ち来年1月5日から運賃を有償とする。最も適した料金体系などを探り、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地など人口減少や高齢化が課題となっている地方で、新しい交通モデルを構築する。

 実証実験は3年目。これまで乗降場所や配車予約方法の拡充、人工知能(AI)を活用したルート選定などに取り組んできた。同社は「有償化は商用化に向けた最終段階」としている。

 人口の少ない地域でも持続できる公共交通にするため、適切な運賃や支払い方法などを検討する。JR浪江駅、道の駅なみえなど町中心部からの距離に応じて200~800円の4段階の料金を設定した。市街地内での利用は200円、中心地から請戸地区まで乗車した場合は800円となる。小学生以下は無料で、支払い方法は現金のみとした。

 2日に東北運輸局から有償化の計画について認可を受けた。有償化に関するデータを集めて利便性の高いシステムを目指し、将来的には浪江町以外の地域での実施も検討する。

 日産自動車総合研究所の宮下直樹主管は「人口減少や高齢化が進む地方では交通面で困っている住民も多い。持続可能なシステムを目指し、地方での公共交通の課題を解決していきたい」と話している。