高校ラグビー

憧れの花園で全力 全国高校ラグビー出場の福島県代表・勿来工 3年生「結束力」存分に 地道な勧誘続け部員確保

2022/12/29 14:30

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強い結束力でチームをつくり上げてきた3年生
強い結束力でチームをつくり上げてきた3年生
試合後、選手をねぎらう芳賀さん(右)と山形さん(左)
試合後、選手をねぎらう芳賀さん(右)と山形さん(左)

 28日に大阪府東大阪市の花園ラグビー場で行われた全国高校ラグビー大会1回戦。25年ぶりに出場した勿来工は目黒学院(東京)に敗れはしたが、最後まで諦めずに戦う姿を貫いた。花園の舞台を目指し、選手たちはつらい練習に取り組みながら部員確保に奔走してきた。花園に立てた喜びを胸に楕円(だえん)球を追い続けた。


 「みんなとラグビーができて楽しかった。入部してよかった」。LO松田海砂輝(みさき)選手(3年)は試合後、すがすがしい表情を浮かべた。

 松田選手が入部したのは今年8月。空手部引退後に勧誘を受けた。ラグビーの経験はなく不安もあったが、新たな仲間や監督らの熱心なサポートを受け、花園での先発出場をつかみ取った。

 同部の3年生で中学までにラグビーを経験していたのはSH油座弦志選手だけ。入学当初、同級生の部員は6人しかいなかったが、地道な勧誘を続け、最終的には15人となって花園の切符をつかんだ。小松傑監督はチームの最大の武器を「結束力」と評する。仲間を大切にし、共に上達しようとする強い心が個々の成長につながった。3月の選抜大会、7月の7人制大会でも全国の舞台を踏んだ。

 3年生引退後の部員は6人。1月の新人戦は連合チームで出場する。唯一の2年生の小野愛斗選手は「まずは部員集めから取り組む。先輩のようにラグビーに懸ける思いが伝われば、入ってくれる人もいるはず」と意気込む。3年生が築いたチームの形が、新たな伝統として後輩たちに受け継がれていく。


■スタンドでOB見守る

 スタンドで戦況を見守った山形忠男さん(55)は勿来工ラグビー部OB。同校が初勝利を挙げた1986(昭和61)年は帯同コーチとしてサポートしたほか、長年OB会事務局長としてチームを見守り続けている。

 子どもたちにラグビーの楽しさを伝えるため「勿来少年ラグビースクール」の運営にも尽力している。油座弦志選手(3年)もスクールの卒業生だ。「今後もみんなでスクラムを組んでラグビーの魅力を伝え、部員不足解消に貢献したい」と決意を新たにした。

 勿来工前校長の芳賀菊博さん(61)は前回出場の1997(平成9)年にラグビー部の監督を務めていた。25年ぶりの雄姿を目に焼き付けようと応援に駆け付けた。「花園のスコアボードに、また勿来工の名が掲げられた。関係者に感謝したい」と笑顔を見せた。