「天災は忘れた頃にやって来る」。明治から昭和にかけて災害研究などに携わった物理学者・寺田寅彦が説いた警句として知られるが、今は忘れる間もなく災禍が打ち続く▼平成の日本は2度の大震災に見舞われた。28年前の1月17日に起きたマグニチュード(M)7・3の阪神大震災では、古い建物や高速道路の橋脚などが崩れ、住宅密集地では大規模な火災が猛威を振るった。都市構造のもろさがあらわになり、災害に負けない社会づくりが加速する。耐震基準強化などの法改正が進む一方、被災地に多くの有志が駆け付け、「ボランティア元年」とも言われた▼16年後の3月11日、M9・0の激しい揺れが東日本を襲った。大津波が福島、宮城、岩手を中心にした沿岸部を直撃し、関連死を含めた死者と行方不明者は2万2千人を超える。原発事故が重なり、いまだ古里に戻れない住民もいる。未曽有の複合災害は現在進行形のままだ▼昨年3月16日の本県沖地震をはじめ、今も全国で大規模な地震が相次ぐ。今年は、9月1日発生の関東大震災から100年の節目。「天災は忘れぬうちにやって来る」と肝に銘じ、身の回りの備えを普段から確かめておきたい。